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法曹養成パブコメ意見書の補足意見  ( 司法のあり方   法曹養成・法曹人口 ) 2013/05/15

法曹養成パブコメにあたり,法科大学院協会理事長の鎌田薫教授が,次のコメントを発表しています。


プロセスとしての法曹養成制度の堅持と一層の充実に向けて
平成25年5月11日
法科大学院協会理事長
鎌 田 薫
http://www.lawschool-jp.info/press/press13.pdf

 この結論部分で,教授は,「今後、法曹の職域の拡大、司法試験や予備試験制度、司法修習の在り方なども含め、法曹養成制度全体の改善に向けて講じられる措置は、受験技術の習得に著しく傾いたかつての状況に逆戻りさせるのではなく、既存の法理を批判的に検討し、発展させていく創造的な思考力、事実に即して具体的な法的問題を適正に解決するための法的分析能力や論理構成力、議論の能力等を効果的に育成しうるものとなるよう、十二分に配慮しなければならない。」と述べています。

 私のパブコメ意見書は,上記の言説に対し直接コメントするものとはなっておりませんが,この教授の言説は,法科大学院の教育内容を司法試験合格者に求められる能力とは違うものにしている一番の問題の一つなので(制度設計の中心的な誤りの一つなので)次の通り,私の意見を対置しておきたいと思います。

1.旧司法試験でも新司法試験でも,司法試験で試されている合格者の知識・能力は本質的には変わっていません。
 すなわち,それは,基本法の体系的知識の獲得と,その解釈・適用に関する基本的な分析・表現能力を獲得することです(以下「本件知識・能力」といいます。)。
2.そして,それは,択一,論文,口述という旧司法試験の方式(一発試験の方式)で試すことができるものです。
3.大学の法学部・法学系教員は,戦後,法科大学院制度ができるまでの間,自己の研究を重視する余り法曹を志望する者が求める本件知識・能力の教育・訓練機関としては機能をほとんど果たしてきませんでした(一部法学部における法職課程教室等の取組を除きます)。
  それを代替するものとして学生の自主的勉強会(中央大学真法会・早稲田大学勉強会)や予備校が発達してきたものです。
.大学が法曹養成の専門機関の役割を主体的に担おうとするなら,正面から,上記代替勉強会・予備校の教育・訓練内容を評価し(受験技術に偏重したなどと法学部の教育実態から目をそらし揶揄をするだけでそれらを無視するのではなく),そこで行われてきた教育・訓練を止揚・昇華した教育実践が行われなければなりません。しかるに現在の法科大学院は,この司法試験合格者に求められる知識・能力に関する教育・訓練を正面から中心課題として行う位置づけすらもっていません。
5.このような法科大学院では,法科大学院制度が産み落とされた背景事実(※)に答えられず,制度として中途半端で,意味がありません。

  ※ 司法試験合格者が1000人でよいなら,司法修習を中核とする旧司法試験制度下の法曹養成プロセスで何の問題もなかったのです。
 計画的な合格者増政策の下,司法試験合格者が1500人に近づくにつれ,司法研修所や実務庁における指導担当者からは,合格者の質の低下が顕著に指摘されるようになっていました。和光の司法研修所は,1500人が人的・物的設備として限界でしたし,実務庁からも従前通りの丁寧で濃厚な指導は困難であるとの声が大半で,1500人を超える合格者の受け入れは実際上困難だ,それをすると,これまでの基礎的な最低限度の法曹としての品質が保てず,釜の底が抜けてしまうとの声が,法曹界の支配的な意見であったといえます。
  しかし,政府はあくまでも1500人を超え3000人に増やすという方針をとっていました。そこで,法曹界がこれまで通り養成ができないというなら,それをどうにかするものとして,大学内の専門職養成機関たる法科大学院の設立が構想されたものです。
 合格者の質の低下は,「本件知識・能力」の質の低下であり,そこの底上げが中心問題でした。司法試験合格者に求められるのは,基本法の体系的知識の獲得と,その解釈・適用に関する基本的な分析・表現能力を獲得することであり,それ以上でもそれ以下でもないのです。ただし,ここでいう「基本法の体系的知識獲得」のレベルに関しては,法曹の中の先輩・後輩は関係がありません。法曹 になってからこの知識を獲得することはほぼ不可能だと考えねばなりませんから,法曹に求められると同程度のもの(あるいはそれ以上の最新のもの)を合格者は獲得しておかねばならないのです。
 司法試験合格以前に施されるべき教育として必要不可欠なものは何かと問われれば,実務教育でもなく,倫理教育でもなく,知的財産権に関する教育でもなく,何よりも本件知識・能力を獲得させる教育です。これができないような教育であれば,それは司法試験合格レベルを達成させる教育としては,根本的に失格だというべきです。

                                  以 上