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 「消費者契約法,特定商取引法の成果と課題」逐語レジュメ〔1〕  ( 消費者問題   ) 2012/07/15
 民法改正論と改正民法への消費者概念の導入の是非を巡り,私のスタンスを明示しなければならない時期が来たようです。
 2012年3月8日に兵庫県生活科学総合センターの「相談支援学習会」として行われた見出しのタイトルの講演会での私の逐語レジュメを公開し,議論に供したいと思います。
 いくつかに小分けして掲示します。


 「消費者契約法,特定商取引法の成果と課題」逐語レジュメ
                                                                2012年3月8日
                                        兵庫県生活科学総合センター相談支援学習会
1.はじめに
・ 今年で,消費者契約法施行後10年を経過しました。
・ この間に,消費者関連の法律は目に見えて発展してきました。
・ しかしながら,未公開株,社債詐欺などの詐欺的投資商法が跋扈し,手のつけられない状態になっている問題や,和牛オーナー商法のあぐら牧場の経営破綻の問題に見られるように,詐欺的ないし欺まん的な商法による被害は,相変わらず繰り返され,全体として高い件数で発生し,こうしたことが収まらない状態です。日本社会は,法律の発展にもかかわらず,消費者にとっての良好な取引の慣行や風紀の確立に成功していないのです。
・ こうした問題に対応するため,日弁連は,2006年12月に,消費者契約法の実体法改正に関する意見書を取りまとめています。消費者契約法改正に関しては,先週の金曜日(8月26日)に,消費者委員会が,消費者庁において早急に消費者契約法改正の検討作業に着手するよう提言しています。
・ また,その消費者庁では,この間,集団的被害回復制度の創設とか,加害者による財産の隠匿・散逸等の問題に対してどう手当するのかといった点が議論されて来ています。
・ これらのほか,不招請勧誘への対応については,商品先物取引の分野で,包括的に不招請勧誘の禁止が導入されましたが,さらに,金融商品取引でも同様の制度が導入されるべきであるという議論が有力であり,そのほか,訪問販売・電話勧誘販売一般,消費者取引一般における対応についても,議論がなされています。
・ 他方,このように法制度のどこをどう変えれば,消費者の安心・安全が増進するのかということだけではなく,消費者関連の法律が,全体として,非常に複雑化し,分かりにくくなってきているという問題が生じてきています。
・ そこで,消費者庁・消費者委員会のもとで,一元化された消費者行政との関係で,消費者法のあり方を,検討し直すべき状況にもあります。
・ さらに,法務省を中心とした民法改正論の中では,消費者契約法の実体規定は,むしろ民法に統合するのがよいのではないかという議論も,大まじめになされています。
・ これらに加えて,近時,訪問販売・電話勧誘販売などによる被害が,必ずしも消費者に対してだけ発生するのではなく,むしろしばしば中小零細事業者も他の事業者の攻撃的勧誘などにさらされて,その結果同様の被害を被っていると言うことから,この問題について,「契約弱者」の被害の救済という形で捉え直そうという問題提起が始まりました。
・ このようなことから,「消費者法」とはなにか,そのかたちが模索されているというのが現状ということになります。
★ そこで,こうした議論を行う上で,前提となるような事柄について,最初に少しお話をしておきたいと思います。
2.消費者契約法制定後の消費者法の発展
★ まずこの間の消費者法の発展について振り返っておきたいと思います。
・ 消費者契約法が施行されたのが2001年・平成13年の4月です。
  ここで,消費者が定義され,事業者との情報及び交渉力の格差があるからそれを是正する必要があるのだという目的が設定され,不実告知等の取消権や威迫困惑等の取消権が導入され,契約の不当条項無効のルールも導入されました。
・ 同じ2001年4月に金融商品販売法も施行されました。
  ここで,元本割れする商品についての重要事項の顧客に対する説明義務,断定的判断の提供の禁止の規範が設定され,これらの規範違反に対する損害賠償請求権が法律上明記されました。これにあわせ消費者契約法でも,将来にわたる変動が不確実な事項について断定的判断が提供された場合の取消権が導入されました。
・ そして,2003年・平成15年11月には,景品表示法に,不実証広告の規制が導入されました。
  不実証広告の規制というのは,広告の規制です。
  例えば,ダイエットサプリのコマーシャルで,「食事制限なしで痩せられる」と広告した場合,消費者庁は,広告した業者に対して,「食事制限なしで痩せられる」と広告したことの裏付けとなる客観的な実証資料の提出を求め,その資料が提出されない場合に,その広告は不当表示だと,みなすことになりました。
・ それから,2004年・平成16年には,いわゆる「消費者の8つの権利」を明記した消費者基本法ができます。
・ 同じ2004年には,特定商取引法に,不実告知等取消権の規定が入ります。
・ 2006年・平成18年には,貸金業法・出資法が大改正をされ,総量規制が導入されるとともに,グレーゾーンが撤廃されることになりました。
・ 2007年・平成19年には,適格消費者団体に,消費者契約法違反に関する団体訴権制度が導入されました。
・ 同じ2007年に,証券取引法と金融先物取引法が統合され,金融商品取引法となりました。
・ 2008年・平成20年には,特定商取引法・割賦販売法の大改正がありました。
  これに伴い,訪問販売等における規制が強化されるとともに,指定商品・役務制が撤廃されました。
  また,割販法では,個別クレジットの領域でクーリングオフ解除権や,不実告知等取消権が導入されるとともに,悪質商法を助長する不適正与信の禁止や過剰与信の禁止が明定されました。
・ この流れに連動して2009年・平成21年に消費者庁・消費者委員会の設置が行われ,さらに,これらの権限にかかわる消費者安全法が制定されました。
・ また,同じ2009年に商品取引所法と海外商品先物取引法が統合され,商品先物取引法が出来ました。ここで,商品先物については国内・海外問わず,取引所の内外を問わず,不招請勧誘を禁止するルールが導入されることになりました。
・ そして,昨年2010年・平成22年から,改正特商法・割販法,それから改正貸金業法が全面的に施行されました。
  さらに今年2011年・平成23年には,商品先物取引法が全面的に施行されました。
  さらに今年は,金融商品取引法が改正され,無登録業者が非上場の株券等の売付け等を行った場合には、その売買契約を無効とする民事ルールが出来ました。
  これが現在です。
・ 冒頭で述べましたとおり,消費者契約法制定後の10年で,消費者関連の法律は目に見えて発展してきたという面があるわけです。

(〔2〕に続く)