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家事事件手続法の施行が始まりました。  ( 民事弁護・民事裁判   ) 2013/01/21

 今年2013年(平成25年)1月1日から,

      家事事件手続法(平成23年法律第52号)
が施行されました。家事審判法を現代化(モデナイズ)したものです。
 成立日は平成23年5月19日,公布日は同月25日です(第177国会)。
 
 新法の施行に伴い,65年前(昭和22年)に制定された家事審判法(旧法)は廃止されました。
 
 
 家事事件手続法は,家事調停及び家事審判の手続を定める法律です。
 ここでは,新法の旧法から改まったポイントの概要については,最高裁がウエブサイトでPDFを掲示しています。
 http://www.courts.go.jp/vcms_lf/2412kouhou.pdf
 私自身の整理の必要もあって,いくつかのポイントを整理します。

1.最高裁がウエブサイトで掲示する改正ポイントの代表例(5つ)について
① 申立書の写しの送付(67条,256条)

  

 家事調停事件や相手方のある家事審判事件では,家庭裁判所は,手続の円滑な進行を妨げるおそれがある場合を除き,原則として,申立書の写しを事件の相手方に送付することになりました。

② 当事者による記録の閲覧謄写(47条,254条)

 家事調停事件では,従前通り,相当と認めるときは事件の記録の閲覧謄写を許可することができるものとして家庭裁判所の裁量に委ねる形式となっていますが,家事審判事件では,事件の記録の閲覧謄写は原則としてこれを許可しなければならないものとしています。但し,事件に関係する人のプライバシー等に配慮し,例外として,一定の場合には不許可とすることができるとして,不許可とされる場合を明確に規定しています。

③ 陳述の聴取(68条)

 相手方のある家事審判事件では,家庭裁判所は,原則として,当事者の陳述を聴かなければならないものとされました。この場合,他方当事者は,原則としてその期日に立ち会うことができるものとされていますが,その立ち会いで事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは立ち会わせなくてもよいとされています。

④ 家事審判等の結果により影響を受ける者の手続保障

  3つあります。
 ・ 調停や審判の結果により影響を受ける者が手続に参加した場合の権限を明確にし,閲覧謄写等について当事者と同様の権能を付与しています(41条,42条,258条)。
 
 ・ 個別の家事審判事件ごとに,審判の結果により影響を受ける者等から陳述を聞かなければならない場合を明記しています(78条,89条,96条,98条,120条,164条,165条,169条,188条)。
 ・ 特に子どもが影響を受ける事件では,子の陳述の聴取,調査官による調査その他の適切な方法により,子の意思を把握するように努め,調停・審判をするに当たり,子の年齢及び発達の程度に応じて,その意思を考慮しなければならないものとしています(65条,258条)。
 

⑤ 電話会議・テレビ会議システム

  当事者が遠隔地に居住している場合等の電話会議システムは,民事訴訟では既に広く行われていますが,家事事件でも,審判手続でも調停手続でもそれが可能となりました。
 また,民事訴訟では,当事者の一方は裁判所に出頭しなければなりませんが(民訴170条3項但書),家事手続では当事者が誰も裁判所に出頭しなくても,電話会議システムによる手続進行が可能です
(54条,258条)。
 ただし,電話会議・テレビ会議システムを利用して,離婚や離縁の調停を成立させることはできません(268条3項)。その他の場合は,電話会議等の方法により調停の成立も可能です。
   


2.その他の特に重要なポイントについて
-子どもの手続代理人制度(23条,41条,42条,258条)
① 「手続行為」という用語の創設

 家事調停,家事審判の手続における手続き上の行為を「手続行為」と呼び,この手続行為を自ら有効にすることができる能力を新法では手続行為能力といいます(第17条1項)。


② 「利害関係参加」という制度の創設

 ◎「審判を受ける者となるべき者」または「審判の結果により直接の影響を受ける者」等は,事件の当事者ではなくても,利害関係参加人として,家事事件の手続に参加することができることになりました(42条,258条)。
 ・ 「審判を受ける者となるべき者」(審判事件となれば審判を受けることになる人)は,裁判所の許可がなくてもその家事調停事件,審判事件に参加できます(42条1項,258条)。例えば成年後見開始審判事件の成年被後見人がこれにあたります(なお成年後見開始審判事件は旧「甲類」事件,新法では「別表第1」事件で,調停はありません)。

 ・ 「審判の結果により直接の影響を受ける者」は,裁判所の許可を得て参加できます(42条2項,258条)。例えば子の監護に関する処分の家事事件における子(養育費事件は除きます。),親権者変更,親権喪失・停止,未成年後見人の選任等における子などがこれにあたります。
 ・ 裁判所は,職権で,審判を受ける者となるべき者や審判の結果により直接の影響を受ける者等を家事事件の手続に参加させることができます(42条3項)。
 


③ 制限行為能力者の手続代理人という制度の創設


 未成年者や成年被後見人は,原則として法定代理人によらなければ,「手続行為」をすることができません(本法17条1項,民訴法31条)。
 しかし,未成年者が,
  子の監護に関する処分の調停事件(252条1項3号)
  親権者の指定又は変更の調停事件(同項4号)
に利害関係参加(42条2項及び3項)する場合で,必要があると認めるときは,裁判長は,申立てによりまたは職権で,弁護士を手続代理人に選任することができます。(23条1項,2項)
 この場合,手続代理人弁護士の報酬の額は,裁判所が相当と認める額を決めます。(23条3項)
 この費用の負担ですが,その性質は手続費用とされており,民事訴訟費用等に関する法律2条10号により,当事者の負担となっています。子どもの代理の報酬については,原則はその子どもの負担訪うことになります。 しかしながら,子どもには資力がないのが通常ですから,現在,その父母の負担にするための実務上の運用方法が検討されているようです。

 


(改正法の大枠的事項)
以上は内容面でしたが,もう少し鳥瞰図的に改正状況を述べると次の通りです。

1.規則事項から法律事項に格上げされたもの

  他の手続法における仕分けに準じて,
    当事者等の権利義務に重大な影響を及ぼす事項
    手続の基本となる事項
 は法律事項として規定されています。
  旧法の下で規則(家事審判規則)に規定されていた事項で法律事項になったものは次の通りです。
  ① 裁判所の管轄・移送
 
  ② 利害関係人の参加
  ③ 手続の非公開
  ④ 必要的陳述聴取
  ⑤ 職権による事実の調査
  ⑥ 社会福祉機関との連絡
  ⑦ 審判の告知
  ⑧ 即時抗告の可否・即時抗告権者の範囲
  ⑨ 審判前の保全処分の内容及び効力並びに保全処分に対する不服申立

2.改正の要点

  旧法から新法になったことで改正されたことの要点は次の通りです。
(1)当事者等の手続保障を図るための制度を充実させること

 ① 参加制度の創設
  ・ 当事者参加の制度と利害関係参加の制度を区別して整備し,参加者の権限等を明確化 

◎当事者参加の制度は,当事者となる資格を有する者は,係属事件の申立人または相手方になっていなくても,当事者参加人として参加できるという制度(別申立とその後の併合処理をまたずに既存の事件に参加できます。)
◎利害関係参加の制度は,「審判を受ける者となるべき者」または「審判の結果により直接の影響を受ける者」等は,事件の当事者ではなくても,利害関係参加人として,家事事件の手続に参加することができるという制度。  

 ② 記録の閲覧謄写に関する制度の明確化

 ③ 不意打ち防止のための諸規定の整備

 審判事件のうち,調停をすることができる事件等について,あらかじめ審理の終結の日,審判日を定めることになりました。(71条,72条)


   
(2)家事事件の手続を利用しやすくするための制度改正等

 ① 電話会議システム・テレビ会議システムによる手続の創設
 ② 調停を成立させる方法の拡充
  ・ 高裁でも家事調停ができるようになりました。
  ・ 調停条項案の書面による受諾の方法によって調停を成立させることができるようになりました。
  ・ 電話会議・テレビ会議システムによる調停の成立が可能となりました(54条,258条1項)。
    (但し,離婚・離縁の調停事件は別です。)

 ③ その他
  ・ 手続き上の救助の制度が導入されました。
  ・ 通訳人をつけることができることになりました。
  ・ 調停に代わる審判ができる事件の範囲が拡張されています。

(3)管轄・代理・不服申立等の手続の基本的事項に関する規定の整備

 次のように一般的な点について,規定が整備されています。

 ① 管轄について:土地管轄の規定等など法律事項に格上げされました。
 ② 代理について:
   法定代理人と手続代理人の代理権の範囲が明確化されました。
   当事者の手続追行能力を補充するために裁判長が申立て 又は 職権で
  弁護士を手続代理人に選任することができる手続が創設されました。
 ③ 不服申立について:
    家事審判に対する不服申立手続と,審判以外の裁判に対する不服申立手続とを
   分けて規律しました。
    また,即時抗告審の手続を明確化しました。
    許可抗告,特別抗告,再審の手続 についての規定の整備が図られました。

一応の整理は以上の通りとしておきます。