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法曹養成制度に関するパブコメ意見(その2)(2013年5月9日)  ( 司法のあり方   法曹養成・法曹人口 ) 2013/05/14
パブコメ意見の続きです。


「第3 法曹養成制度の在り方」の「1(1)」について

2.二つ目の○の考え方について

 - プロセスとしての法曹養成の理念を堅持した上で,法科大学院の定員削減・統廃合等を促進し,未修者教育の質の向上を図るべき,との言説について-
【結論】
 
 
考え方に同意できない(反対である)。
【理由】
 
(1)
 「プロセスとしての法曹養成の理念」が,法科大学院を中核とする法曹養成の理念を指すとすれば,それを堅持することは有害無益である。
 プロセスとしての法曹養成は,前述の通り,旧司法試験時代にこそ,司法修習を中核としてしっかりと行われてきたものである。
 法科大学院は,司法修習によるプロセスとしての法曹養成の限界とされた1500人を超えて3000人まで合格者を出すべしとした政府政策(合格者激増路線)によって,数が増えても質を落とさないための方策として特別に構想されたものであるところ,本来,数が増えても質を落とさないための方策としては,司法試験を合格した者の中で,基本的な知識と能力が不足する者に対して,特別にその底上げのために,選抜された有能な大学教員による基礎教育にかかる教育力を投入すれば良いはずである。しかるに,法科大学院の制度は,司法試験にすら合格していない者に対して,大学法学系教員の教育力を投入する制度となっていて,法学部に付属する法職課程との差がよく分からない建て付けになっている。
 これでは,司法試験合格者・司法修習修了者の質が確保される保証はない。
 今後,年間合格者の数を早急に1000人程度に絞り込み,合格者が高度な専門的知識と能力を駆使して司法を担う法曹としてきちんと裁判所,検察庁,法律事務所その他のしかるべきところに職を得て,しかるべき待遇が受けられる状態に戻せば,司法試験の志願者の数は,新司法試験導入以前の状態へと回復し,それに伴い,そこから選抜されてくる司法試験の合格者の知識・能力の質も従前通り回復する。
 その合格者に対し,1年半ないし2年間の司法修習を施し,その後のオンザジョブトレーニングを施すことにより,従前から長年にわたり行われてきた「プロセス」としての法曹養成制度は,その生命力を回復する。
 その方法に戻すべきである。
(2)
 「中間とりまとめ」は,法科大学院の定員削減・統廃合等を促進すべきだという。
 しかし,法科大学院の修了を受験資格としながら,法科大学院の定員削減・統廃合等を促進すると言うことになれば,結局は,司法試験合格率の低い法科大学院を意図的に締め上げて,統廃合を促すことになり,それは特定の大学の大学の自治を,政府の政策により圧迫することにならざるを得ない。憲法侵害的であるし副作用も大きく,法科大学院の修了を受験資格とする制度を廃止する場合と比較して,得られる利益も小さい。そこで,かかる方法は邪道であって,とるべきではない。
 政策的に統廃合を進めれば,生き残ることができるのは,旧司法試験で多数の合格者を輩出していた大学に付属する法科大学院を中心とした法科大学院となるだろう。
 しかし,今後,年間合格者の数を1500人以下に絞り込めば,その者らに対するプロセスとしての法曹養成は,司法修習によって成し遂げることが出来るし,これまで法科大学院に投入されてきた法学系大学教員や実務法曹の教育にかかるマンパワーは,司法修習制度の中に投入される形で生かされるべきである。
 そこで,生き残った少数の法科大学院で行われることが期待されるのは,やはり,基本法の知識・体系と,その解釈適用に関する基本的な分析・表現能力である。
 しかし,このようなことは,(予備校と教育技術について競争し切磋琢磨しながらも)各大学の法学部の法職課程で行われるべきことであって,格別に政府が保護・育成・支援措置をとって行わねばならないようなことではない。
(3)
 「中間とりまとめ」は,法学未修者教育の充実をいう。
 しかし,それは,大学法学部の法職課程コースが社会人を幅広く受け入れて,行うべきことである。政府が特に政策として,社会人から法曹志願者を広く募りたいというのであれば,そのような法学部の法職課程に対し特別の支援措置を講ずればよいことである。
 
「第3 法曹養成制度の在り方」の「1(2)」について
一つ目の○について
-法曹志願者の減少は,合格率,就職状況,法科大学院のコスト,リスクが原因との点-
【結論】
 
 法曹志願者(司法試験志願者)の減少の理由に司法試験の合格率が高くないことを上げている点は誤りである。
【理由】
 司法試験志願者が減少しているのは,第1に,法曹の大多数を占める弁護士の職業的魅力が失われているからである。そして,その原因は,弁護士人口の激増に伴う法廷弁護士活動という通常の弁護士業務の供給過多によって弁護士の就職難,経営難,所得の減少等が生じていることが広く知られるようになったことにある。第2に,法科大学院終了を司法試験の受験要件とする制度の発足に伴い余分なコストやリスクが付加されたことももちろん挙げることが出来る。
 これに対し,司法試験の合格率が高くないから志願者が減少したというのは,全く成り立たない理由付けである。司法試験の合格率が2%程度であった旧司法試験時代,志願者は合格者の50倍存在した。だから司法試験が難関であることが志願者の減少にはつながったりしない。弁護士の職業的魅力が十分であれば,いくら難関でも志願者は裾野広く確保できる。
 
「第3 法曹養成制度の在り方」の「1(3)」について
一つ目の○について
-法科大学院生に対する経済的支援の取組を継続していく必要があるとの言説について-

【結論】
 
 基本的な考え方に反対である。

【理由】
 法科大学院の制度は,司法試験にすら合格していない者に対して,大学法学系教員の教育力を投入する制度であるが,それでは,法学部に付属する法職課程との差がよく分からない。その仕事は,基本的には大学法学部の果たすべき仕事だといえる。
 また,法科大学院の制度は,司法試験にすら合格していない者に対して実務家による教育を投入する制度であるが,実務家は実務を教えることは出来ても,基本法の知識・体系と,その解釈適用に関する基本的な分析・表現能力を教育するプロではない。基本的な知識と能力のない者に応用問題である実務を教えても,応用能力は身につかないし,そのために実務家が基本的な知識と能力を身につけさせようとしても,実務家はその能力には長けていない。そのような授業には無駄が多いといえる。
 このように,法曹養成という観点から見ると,現行の法科大学院制度は基本的な合理性を欠いている。
 プロセスとしての法曹養成は,司法修習制度を中核として行うのが合理的なのであって,法科大学院を法曹養成の中核に位置づけることが正しいことを前提に,そこに多大の国家予算を投じるという考え方は,基本的に誤っている。

 
二つ目の○について
-修習生に対する貸与制を維持すべきであるとの言説について-

【結論】
 
 考え方に反対である。
 裁判所法を改正して,修習生に対する給費制を復活させるべきである。

【理由】
 プロセスとしての法曹養成は,旧司法試験時代にこそ,しっかりと行われてきたものである。厳しい司法試験を突破して,基本法の知識・体系と,その解釈適用に関する基本的な分析・表現能力を獲得している合格者に対し,司法研修所および実務庁は,2年間ないし1年半の司法修習により,実務の技術と倫理の基本を体得させ,その後,法曹資格を得て実務に出てからも,各実務庁,弁護士会での研修や,法律事務所内の指導・研修,およびオンザジョブトレーニングなどが行われ,長い年月を掛けて,一人前の法曹になっていく。
 これがプロセスとしての法曹養成である。

 今後,司法試験合格者を速やかに1000人程度に絞り込み,供給過多となる元栓を絞った上で,滞留する法曹資格者に裁判官,検察官,又は弁護士としてしかるべき職業に就いてもらうことで,法曹の職業としての魅力を回復させ,かつ法科大学院の修了を司法試験の受験要件とする制度と5年三振制度も撤廃すれば,法曹志願者は以前のように回復して行くであろう。司法試験が難関試験となり,再び司法試験を合格した者の知識・能力に関する質感が旧試験時代のように戻ってくるであろう。そこに十分な国家予算を投入することに躊躇する必要は全くない。

 司法修習生は,司法の担い手である裁判官,検察官,弁護士の卵である。彼らは,司法修習を終了すれば,これらの職業に就く。彼らは,司法の担い手でありその担う司法作用に公益性があるから,彼らがきちんとした法曹としての技能と倫理の基礎を体得することにも公益性があるのである。法曹の公益性の根本は,普段の民事・刑事等の事件処理において,法が予定する機能を果たすことである。そうであるから,裁判官,検察官だけでなく,弁護士の業務にも司法の担い手としての公益性は備わっている。市民の相談を虚心坦懐に聞き,証拠を収集してその証明に努め,法律関係を研究・分析してその主張を裁判所に受け入れさせるなど,弁護士に課せられた責任ある業務を誠実にこなすことにより,適正な司法判断を導いて,国民の権利を正しく実現すること自体が法の予定する弁護士の一番の使命であり,公益性の根本である。

 だからこそ,司法修習生を,法曹としての技能と倫理の基礎が備わった者として育て上げることには公益性があり,したがってまた,彼らの学びを遂げていく過程そのものにも公益性があるのである。だから彼らは準公務員として扱われてきたのであるし,だから彼らは,給与を受け取ってきたのである。
 
  司法修習を貸与制にするというのは,法曹や司法権を経済資本の論理に従属させる考え方に基づくものであって,司法権の独立を定めた憲法76条の精神に反する考え方である。直ちに,裁判所法を改正し,修習生の給費制を復活させるべきである。

                                                〔(その3)に続く〕