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「ぼんやりとした無力感」から「覚醒した年寄り国家」へ  ( 弁護士の小話   市民法律だより ) 2018/01/09

市民法律だより2018年1月号(第16号)投稿分で,2017年12月12日に書き下ろしたものです。


 「ぼんやりとした無力感」。毎日新聞11月28日付「時論フォーラム」で森健氏は総選挙後の国の空気をそう述べた。

 理不尽なことが,追及を免れてまかり通る。値下げ根拠不十分の「会計検査院報告」,地中ゴミなしの「音声データ」が突きつけられても,頷きながらスルーできる政治力。

 小選挙区制の制度的問題点と,首相解散権を利用する現政権の仕掛けの巧みさが大きいが,その力を安倍政権に与えたのは,その下での私たち国民の力量である。

 政治は動かせるはずなのに動かせないで,難しくそこにとどまる。これはどうしたことだろう。もう破綻していて,一から見直さなければならない政策がある。原発政策も,そして私の身近なところでいえば法科大学院制度も,既得の省・機関や利害関係者がハンドルを握って手放さない。というか,その手から私たちがハンドルを奪わない。

 この国の新しい担い手が,「湧き上がらない」。南米ウルグアイのムヒカ前大統領のように,魂を揺さぶるように政治の意味を伝える「民衆の政治家」が,出てこない。世界は必ずしもそうじゃないから,この日本の現状を見て,ゆっくり静かに進む「少子高齢化」「人口減少社会」の現実を思わずにいられない。

 2016年の出生数は,始めて100万人を割り込み,出生率は1.44にまで下がった。2015年の国勢調査で,日本の人口は,統計を取り始めて初めて減少に転じた。今は,1億2700万人だが,35年後の2053年には,9900万人になる。そして,50年後の2065年には8800万人にまで減少する(国立社会保障・人口問題研究所報告)。婚姻件数・婚姻率も減り続けている。
 そしてやはり高齢化。2年後の2020年には女性の2人に1人は50歳以上となる。既に,4人に1人が65歳以上の高齢者となっている。高齢者の1人暮らしもますます増えてくる。2025年には,団塊の世代の全てが75歳以上になる。今から僅か7年後の2025年には,社会保障費の財源不足が顕在化する(基礎年金の原資が不足する)。この辺りから社会保障の切り下げ(生活保護制度を含む)の痛みと増税の痛みの危機がリアルとなるはずである。私たちの「ぼんやりとした無力感」,私たちが2世,3世議員や既得の省庁政策から「ハンドルを奪わない無力感」が,その当たりから来ているとしたら,より事態は深刻である。道路,上下水道,河川港湾設備,公共施設,などの社会インフラは,利用料,税収で維持されているが,少子高齢化で利用が減少し,人口減少で税収が減ると,インフラを更新できなくなる。2033年には空き家率は3割にまで上昇する。空き家の活用対策どころか,老朽化した空き道路,空き水道,空き公共施設,耕作放棄地,放棄山林が国中に広がる。そうして,18年後,2036年には,3人に1人が65歳以上となる。私もその1人だ。これらは既に到来し,これから間違いなくやってくるこの国の現実である。
 「憲法を改正して,自衛隊を憲法に書き込む!」なんて言うが,若者を戦争に取られる余裕などどこにもない。政府は「外国人受け容れ+AIフル活用」で少子高齢化に対応するつもりのようであるが,公務員である自衛隊を外国人部隊にする訳にはいかない。そして,公務員を雇う税収もない。税収58兆円の国が,34兆円の借金(国債発行)をして,国を借金経営している現状である。今,若い人を戦争に取られでもしたらこの国の民は再生できなくなる。日本が若い国に伍して戦争も出来る国になるというのは冷や水にもほどがある。武力で威嚇する国や人たちに対し「つまらないから止めろ」という,「覚醒した年寄り国家」になるしかない。

 2015年からの3年間で,資産が1億円以上となる富裕世帯は,100万世帯から120万世帯に急増し,その分資産格差は拡大した。この国の金持ちはほっといたら財テクばかりするというのが現実なら,情けない限りだ。もうちょっと本気で考えよう。この日本社会の動かし方。

          (2017年12月12日記)