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法曹養成制度に関するパブコメ意見(その3)(2013年5月9日)   ( 司法のあり方   法曹養成・法曹人口 ) 2013/05/14
パブコメ意見の続きです。

「第3 法曹養成制度の在り方」の「3(1)受験回数制限」について
-受験回数制限制度は維持すべき,緩和を検討すべきとの言説について-


【結論】
 
 考え方に反対である。
 受験回数制限制度は撤廃すべきである。
【理由】
 
 法科大学院制度は,法科大学院の修了を司法試験の受験資格としたことにより,社会人や経済的援助が不足するものを司法試験から遠ざけたし,法学部生に対し,あらかじめコースとして4年を超えてしまう期間のかかる法曹という職業を選択することを諦めさせる結果を招いた。
 さらに,5年三振の受験回数制限制度により,国民が能力を磨いて法曹となり,司法という権力作用に内側から参画するという権利,つまりは参政権を,恣意的に奪う制度になっている。
 法曹を職業として選び取る権利は,単に職業選択の自由の保障下にあるだけの権利ではない。司法試験に合格し,司法修習を終えた者は,弁護士会に登録し,弁護士として開業することができる。弁護士は,法曹として訴訟当事者の代理人になり,裁判に参与することが出来る。これは司法に参画する権利に他ならず,公務員となる権利(公務就任権)と同様,広義の参政権として憲法上位置づける方が,実質に合致する。司法試験受験の機会は,司法参画権としての参政権に由来するものであるから,国民に平等に付与されなければならない。したがって,法科大学院終了を司法試験の受験条件にしたり,5年三振制度を設けて受験を制限したりすることは,国民の司法参画権を広範かつ不合理に制約する制度として,憲法に違反するおそれが高い。
  したがって,この2つの制度は,国民から法曹を遠ざけ,国民の司法参画権を害する制度であるから,直ちに廃止されるべきである。
 
「第3 法曹養成制度の在り方」の「3(3)予備試験制度」について
-予備試験制度を見直す必要があるかどうかを検討すべきとの点について-
【結論】
 
 予備試験制度を見直す必要があるとの点には賛成であるが,その背景となる考え方には同意できない。
 法科大学院の修了を司法試験の受験資格とする制度が残されているもとでは,法科大学院修了者と予備試験合格者との司法試験合格率が均衡するように,予備試験合格者の人数を調整するべきである。
 
【理由】
 法科大学院卒業者であろうと,予備試験合格者の試験であろうと,法律家として身につけておかねばならない能力は同一である。現在の法科大学院生のみ優遇されるというのは,全く道理に合わない。

 先輩法曹とその顧客や社会が新たな法曹志願者に求めているのは,「法曹として求められる最低限度の均質で高品質な基礎的能力を持った法曹志願者」である。そのクオリティがあって,加えて社会的な種々のキャリアや個性が上積みされるならそれに超したことはない。しかし,最低限度の均質で高品質な基礎的能力もないのに,「法曹」のバッジ・資格を与えることを,先輩法曹も,その顧客や周囲の社会も,新たな法曹志願者に求めてはいない。ましてや,法科大学院が潰れるくらいなら,品質や基礎的能力が多少落ちても,法科大学院生を法曹にして構わないと考える国民は,法科大学院関係者以外はだれもいない。

 最低限度の均質で高品質な基礎的能力があるかどうかは,統一された共通の,試験で試されるべき事柄である。法科大学院生に下駄を履かせるため,予備試験合格者人数を絞り込む必要はどこにもない。

 また,ここでも受験回数制限制度について言及しておくが,法科大学院を卒業して何回受験したかで法曹の途を断つことのできる権利などだれにもない。先輩法曹も国民も,その方が最低限度の均質で高品質な基礎的能力を持った法曹であると認められれば,何歳でも,過去に何度試験に失敗した方であろうと,受け入れるであろう。 
 
「第3 法曹養成制度の在り方」の「4 司法修習(1)」について
【結論】
 基本的な考え方に反対である。
 プロセスとしての法曹養成は,司法修習を中核としたものとし,今後,統合・再編成が行われることとなるであろう大学法学部(法科大学院)における教育力とマンパワーは,理論と実務を架橋するため,司法研修所・日弁連・法務省内各種研修機関・その他の法務研究機関等を充実強化する中で,その各セクションにおいてその実力を発揮頂くのが妥当である。
【理由】
(1)
 仮に法曹が,政府の予算や大学教員のマンパワーを借りて後輩法曹を養成するとしても,その養成対象は,基本法の知識・体系と,その解釈適用に関する基本的な分析・表現能力を獲得している者に対してのはずである。実務はいわば現実に即した基本の応用であり,応用を教えるのであるから,実務トレーニングを始める前に,基本的な知識と能力を備えておいて頂く必要がある。その知識と能力を試すのが,司法試験である。
 この点,法科大学院の制度は,司法試験にすら合格していない者に対して,大学法学系教員の教育力を投入する制度であるが,それでは,法学部に付属する法職課程との差がよく分からない。そのようなことは,基本的には大学法学部がコースを設けて果たすべき仕事だといえる。
 また,法科大学院の制度は,司法試験にすら合格していない者に対して実務家による教育を投入する制度であるが,実務家は実務を教えることは出来ても,基本法の知識・体系と,その解釈適用に関する基本的な分析・表現能力を教育するプロではない。基本的な知識と能力のない者に応用問題である実務を教えても,応用能力は身につかないし,そのために実務家が基本的な知識と能力を身につけさせようとしても,実務家はその能力には長けていない。そのような授業には無駄が多いといえる。
 だから,法曹養成という観点から見ると,現行の法科大学院制度は基本的な合理性を欠いている。
(2)
 他方「法科大学院の実験」は,大学法学部の改革としては理論と実務を架橋する学問として重要なプラスの意味を歴史的に刻み続けていると考えている。大学法学部(法科大学院)の世界が改革されたおかげで,実務はその大学法学部改革の福利を享受し,分かりやすく,さらに実務を意識した教科書や論文が次々に生み出されるようになったこと,大学法学部(法科大学院)の学者の先生方が学生や実務家や社会との距離を確実に縮めたとは感じており,それは学生にとっても,実務家にとってもよかったと心から実感している。
 しかし,そのようなプラスの効果が感じられるのは,全国65大学に及んだ法学部(法科大学院)全体ではない。むしろ,東大,京大,阪大,神戸大,早稲田,慶応,中央などのもともと司法試験合格者が多かった大学の法学部(法科大学院)に,そのような効果が集中しているのではないだろうか。
 いずれにせよ,今後は,法学部教育と法科大学院教育とをきちんと再統合・再編成して頂き,大学側の改革の福利を,法曹界全体が法曹養成と生涯教育の過程で今後とも継続してより深く得られるよう,他方大学側も,実務法曹との交流によってもたらされる福利を継続して得られるよう,建設的な協議を続けて行かなければならないであろう。今後,統合・再編成が行われることとなる大学法学部(法科大学院)における教育力とマンパワーは,理論と実務を架橋するため,司法研修所・日弁連・法務省内各種研修機関・その他の法務研究機関等を充実強化する中で,その各セクションにおいてその実力を発揮頂くのが妥当である。
 
「第3 法曹養成制度の在り方」の「4 司法修習(2)」について
【結論】
 基本的な考え方に反対である。
 プロセスとしての法曹養成は,司法修習を中核としたものとし,前期修習を復活させ少なくとも修習期間は1年半以上とするべきである。
【理由】
 今後,年間合格者の数を早急に1000人程度に絞り込み,合格者が高度な専門的知識と能力を駆使して司法を担う法曹としてきちんと裁判所,検察庁,法律事務所その他のしかるべきところに職を得て,しかるべき待遇が受けられる状態に戻せば,司法試験の志願者の数は,新司法試験導入以前の状態へと回復し,それに伴い,そこから選抜されてくる司法試験の合格者の知識・能力の質も回復する。その合格者に対し,1年半ないし2年間の司法修習を施し,その後のオンザジョブトレーニングを施すことにより,従前から長年にわたり行われてきた「プロセス」としての法曹養成制度は,その生命力を回復する。
 グローバル化の進展や,格差社会の進展や,少子高齢化の進展など,今後予測されうる社会の変化を見越して,現代にマッチする法曹の多様性を獲得したいと考え,それに大学の法学系教員の教育力が役に立つと考えるのであれば,司法試験を合格した者に対して,適切かつ効果的に,選抜された大学教員の教育力を投入すれば良い。知的財産権,行政訴訟,国際機関等々の場で活躍する法曹を特に養成したいなら,その分野の有能な実務家を招聘して,特に有望な者に対して,教育力を投入すればよいはずである。
                                                                                                     以  上