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加害者側が当初過失を認めながらその後争うに至ったことが慰謝料加算原因となった事例  ( 裁判例watching   ) 2012/11/24
福岡高裁平成24年(ネ)第478号 平成24年7月31日民1部判決 控訴棄却(確定)判例時報2161号54頁

※一審福岡地裁八女支部判決平成24年3月16日判例時報2161号57頁

 自賠責等級3級の事案で,後遺症慰謝料の標準額は,いわゆる「赤い本」(日弁連交通事故相談センター東京支部)では1990万円とされています。本判決は,この後遺症慰謝料を,加害者の訴訟態度が不誠実であること,具体的には,示談交渉の際に,加害者に過失があることを前提に示談の提案をし,本訴でも,当初は加害者の責任を認める旨の認否をしながら,その後その認否を撤回して,その過失を争うに至ったことを捉え,この点を理由に,2100万円に増額した地裁判決を支持した高裁判決です。確定しています。実務的には,考え方としては一般的でありながら,されど重要な判決です。
 被害者は,事故当時7歳6ヶ月弱。道路横断中に跳ねられた事故で,神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,終身労務に復することができないもの」として自賠責等級3級3号が認定されています。

(判旨)
後遺症慰謝料について
 控訴人らは,控訴人らが過失を争ったことを慰謝料増額事由として斟酌することはきわめて不当であり,後遺症慰謝料を2100万円まで増額する必要はないと主張する。
 しかし,控訴人会社は,その担当者において,平成21年4月ころ,太郎に対し,本訴提起前の示談交渉に当たり,控訴人乙山に過失があることを前提に,その過失割合を35%とする過失相殺の処理をした上での示談を提案したこと(甲3),これ以上の増額の提案はできないので,訴訟を提起することを促したことが認められる。
 本件においては,本件交通事故が発生したのが平成18年1月20日であるから,上記示談の提案をするまでに,事故の状況を検討した上で過失割合を算定するのに十分な時間が経過している。示談の提案をする前提として控訴人会社担当者が把握していた事実と,訴訟において明らかになった事実とが大きく食い違うという事情もない。よって,控訴人会社が行った上記示談の提案が,事案を十分検討しないでなされたものということはできない。
 さらに,訴訟係属後も,控訴人らは,答弁書において控訴人乙山の不法行為責任を認める旨の認否をしたにもかかわらず,後にその主張を撤回し,控訴人乙山の過失及び不法行為責任を争うに至っている。この主張の撤回自体は権利自白の撤回として許されるとしても,上記の通り,事故から3年経った後にも控訴人乙山に過失があることを前提として示談交渉がなされていたことを考えれば,不誠実な態度であるとのそしりを免れない。
 被控訴人の親権者らは,以上のような控訴人らの態度の変更に憤り,被控訴人の将来を思うと不安になったというのであって,このような心情に至ったのも無理からぬところである。
 よって,上記事情を斟酌し,後遺症慰謝料を2100万円とした原審の認定は相当である。