ホーム
弁護士紹介
事務所概要
相談・依頼
顧問弁護士について
アクセス
平田元秀ブログ
吉谷健一ブログ
topics
大阪高裁平成20年9月2...
「バテレンの世紀」と「潜...
留置場での一般面会日・時...
簡易裁判所の訴訟手続に関...
読者のお便り
一覧へ
CATEGORY
  弁護士の小話
  過去のニュース
  平和
  裁判例watching
  消費者問題
  司法のあり方
  刑事弁護・刑事裁判
  司法修習生の方へ
  民事弁護・民事裁判
  【法律相談】
  お便り
logo
管理画面へ
blog
民法704条後段の損害賠償は不法行為責任の確認規定。  ( 裁判例watching   ) 2010/03/13

【判決の表示】 最判(二小)平成21年11月9日
【判決要旨】 民法704条後段の規定は,悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず,悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではない。
【参考文献】 判例タイムズ1313号112号

(コメントby平田元秀)

 民法704条は,「悪意の受益者は,その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において,なお損害があるときは,その賠償の責任を負う。」と規定しています。
 このうち,前段の規定については,これが不法行為責任規定であるのか,それとも不当利得制度上の法定責任規定であるのかについて,明確な結論はでていない(例えば,北川善太郎・民法講要Ⅴ231頁では「悪意の受益者の場合は,受けた利益の全部に利息をつけて返還すべきである(民704条)。さらに損害賠償義務を負う。これは不法行為責任である。」と書かれるのみです。)。もっとも,近時の過払金返還請求訴訟の中で,一定の貸金業者が悪意の受益者と推定されるとの最判二小平成19年7月13日の判決がでており,これによれば,やはり法定責任説的な理解だと受け止められてきたと思われます。
 これに対し,今回の最判は,後段の損害賠償責任を,不法行為責任の注意規定であると判断し,前段と区別したものと思われます。

 以下,その要旨部分を引用します。

******************************************
 2 原審は,次のとおり判断して,被上告人の民法704条後段に基づく損害賠償請求を認容すべきものとした。
 民法704条後段の規定が不法行為に関する規定とは別に設けられていること,善意の受益者については過失がある場合であってもその責任主体から除外されていることなどに照らすと,同条後段の規定は,悪意の受益者の不法行為責任を定めたものではなく,不当利得制度を支える公平の原理から,悪意の受益者に対し,その責任を加重し,特別の責任を定めたものと解するのが相当である。したがって,悪意の受益者は,その受益に係る行為に不法行為法上の違法性が認められない場合であっても,民法704条後段に基づき,損害賠償責任を負う。
 3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 不当利得制度は,ある人の財産的利得が法律上の原因ないし正当な理由を欠く場合に,法律が公平の観念に基づいて受益者にその利得の返還義務を負担させるものであり(最高裁昭和45年(オ)第540号同49年9月26日第一小法廷判決・民集28巻6号1243頁参照),不法行為に基づく損害賠償制度が,被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し,加害者にこれを賠償させることにより,被害者が被った不利益を補てんして,不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものである(最高裁昭和63年(オ)第1749号平成5年3月24日大法廷判決・民集47巻4号3039頁参照)のとは,その趣旨を異にする。不当利得制度の下において受益者の受けた利益を超えて損失者の被った損害まで賠償させることは同制度の趣旨とするところとは解し難い。
 したがって,民法704条後段の規定は,悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて,不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず,悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではないと解するのが相当である。
 4 以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。これと同旨をいう論旨は理由があり,原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。