ホーム
弁護士紹介
事務所概要
相談・依頼
顧問弁護士について
アクセス
平田元秀ブログ
吉谷健一ブログ
topics
「ぼんやりとした無力感」...
平成28年8月8日と現代...
「理論と実務の架橋」の理...
保証協会と銀行との保証契...
東京高裁平成28年4月2...
一覧へ
CATEGORY
  弁護士の小話
  過去のニュース
  平和
  裁判例watching
  消費者問題
  司法のあり方
  刑事弁護・刑事裁判
  司法修習生の方へ
  民事弁護・民事裁判
  【法律相談】
logo
管理画面へ
blog
パナソニック平成21年12月18日最高裁判決  ( 裁判例watching   ) 2010/02/01
いわゆる派遣切り・雇い止めに対抗して、派遣先会社に対し正規労働者としての地位の確認を求める、派遣労働者(偽装請負会社労働者)の訴訟が全国で戦われています。
そこで、
平成20(受)1240 地位確認等請求事件  
平成21年12月18日 最高裁判所第二小法廷 判決
を紹介しておきます。

(事案)
事案は、プラズマディスプレイパネル(「PDP」)を製造するパナソニックの工場で平成16年1月からPDP製造の工程に従事し,遅くとも同17年8月以降はパナソニックに直接雇用されて同月から同18年
1月末まで不良PDPのリペア作業をしていた労働者が,パナソニックによる労働者の解雇及びリペア作業への配置転換命令は無効であると主張して,パナソニックに対し,雇用契約上の権利を有することの確認,賃金の支払,リペア作業に就労する義務のないことの確認,不法行為に基づく損害賠償を請求していた事案です。

事実関係の骨子は,http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091218155652.pdf
を確認ください。

上記事実関係をもとに、最高裁は次のように判断しました。
(1) 請負人による労働者に対する指揮命令がなく,注文者がその場屋内において労働者に直接具体的な指揮命令をして作業を行わせているような場合には,たとい請負人と注文者との間において請負契約という法形式が採られていたとしても,これを請負契約と評価することはできない。そして,上記の場合において,注文者と労働者との間に雇用契約が締結されていないのであれば,上記3者間の関係は,労働者派遣法2条1号にいう労働者派遣に該当すると解すべきである。
 本件労働者は,平成16年1月から同17年7月までの間,派遣元会社と雇用契約を締結し,これを前提として派遣元会社から本件工場に派遣され,パナソニックの従業員から具体的な指揮命令を受けて封着工程における作業に従事していたというのであるから,派遣元会社によってパナソニックに派遣されていた派遣労働者の地位にあったということができる。そして,パナソニックは,上記派遣が労働者派遣として適法であることを何ら具体的に主張立証しないというのであるから,これは労働者派遣法の規定に違反していたといわざるを得ない。
しかしながら,労働者派遣法の趣旨及びその取締法規としての性質,さらには派遣労働者を保護する必要性等にかんがみれば,仮に労働者派遣法に違反する労働者派遣が行われた場合においても,特段の事情のない限り,そのことだけによっては派遣労働者と派遣元との間の雇用契約が無効になることはないと解すべきである。
 そして,労働者と派遣元会社との間の雇用契約を無効と解すべき特段の事情はうかがわれないから,上記の間,両者間の雇用契約は有効に存在していたものと解すべきである。
(2) 次に,パナソニックと労働者との法律関係についてみると,パナソニックは派遣元会社による労働者の採用に関与していたとは認められないというのであり,労働者が派遣元会社から支給を受けていた給与等の額をパナソニックが事実上決定していたといえるような事情もうかがわれず,かえって,派遣元会社は,労働者に本件工場のデバイス部門から他の部門に移るよう打診するなど,配置を含む労働者の具体的な就業態様を一定の限度で決定し得る地位にあったものと認められるのであって,その他の事情を総合しても,平成17年7月日までの間にパナソニックと労働者との間において雇用契約関係が黙示的に成立していたものと評価することはできない。
したがって、パナソニックと労働者との間の雇用契約は,本件契約書が取り交わされた平成17年8月19日以降に成立したものと認めるほかはない。

(3) 上記雇用契約の契約期間は原則として平成18年1月31日をもって満了するとの合意が成立していたものと認められる。
 ところで,期間の定めのある雇用契約があたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在している場合,又は,労働者においてその期間満了後も雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められる場合には,当該雇用契約の雇止めは,客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められないときには許されないが、前記事実関係等によれば,パナソニックと労働者との間の雇用契約は一度も更新されていない上,上記契約の更新を拒絶する旨のパナソニックの意図はその締結前から労働者及び本件組合に対しても客観的に明らかにされていたということができる。そうすると,上記契約はあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたとはいえないことはもとより,労働者においてその期間満了後も雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められる場合にも当たらないものというべきである。
 したがって,パナソニックによる雇止めが許されないと解することはできず,パナソニックと労働者との間の雇用契約は,平成18年1月31日をもって終了したものといわざるを得ない。
(4) もっとも,パナソニックは平成14年3月以降は行っていなかったリペア作業をあえて労働者のみに行わせたものであり,このことからすれば,大阪労働局への申告に対する報復等の動機によって労働者にこれを命じたものと推認するのが相当であるとした原審の判断は正当。加えて,労働者の雇止めに至るパナソニックの行為も,事態の推移を全体としてみれば上記申告に起因する不利益な取扱いと評価せざるを得ないから,上記行為が労働者に対する不法行為に当たるとした原審の判断も,結論において是認できる。
:(
<平田元秀wrote>