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橋下大阪市長の「慰安婦」をめぐる一連の発言について  ( 平和   ) 2012/10/02

 大阪の橋本市長のこの間の従軍慰安婦問題に関する発言は,あまりにも基本を踏みはずしたもので,私もブログで発言しなければならないとそう思っていた矢先に,10月2日付のしんぶん赤旗文化欄で,弁護士大森典子さんの論評が掲載されました。
 ここに引用して紹介します。
 


                      
          日本軍「慰安婦」の被害事実は明白 無知さらけ出す橋下大阪市長
 最近、橋下徹大阪市長の日本軍「慰安婦」問題にたいする発言が報じられた。
 「軍による強制連行を示す確たる証拠はなかったと言うのが日本の考え方。韓国側が問題視するなら証拠を示してくださいと言うことになる」とのべたという。
橋下氏の「慰安婦」問題についての発言はその後も続いている。
 「日韓関係を一番こじらせている最大の元凶です」として、1993年の河野官房長官(当時)の談話への批判にも及んでいる。しかし、これら一連の橋下氏の発言は、基本的な事実についての無知をさらけ出しているものでおよそ公人として許されない発言である。
                            「河野談話」は国際的に公認
 第1に、日本政府の基本的な立場は、河野談話の立場であり、河野談話は政府が1992年から93年にかけて政府をあげて行った事実調査に基づいて発せられたものである。そして河野談話は1993年以来、現在の野田総理に至るまで歴代総理がその立場を踏襲すると内外に表明してきたもので、いわば国際的にも日本政府の立場として公認されてきたものである。「軍による強制連行を示す確たる証拠はなかったと言うのが日本の考え方」という発言はもっとも基本的で重大な誤りである。
 第2に、「強制連行を示す確たる証拠はなかった」という問題設定自身が、およそこの問題についてのとらえ方を誤っている。確かに安倍元総理をはじめとして、「慰安婦」問題をなかったことにしようとする一部の言説では、被害女性たちが日本の軍や警察などの官憲によって、「慰安所」に強制連行されたか否かが最大の問題であるように描く。すなわち官憲による強制連行がなければ、彼女たちは自らそこに「稼ぎに行った売春婦であって日本政府に何の責任もない」とする。
 しかしながら彼女たちが「慰安所」で強制された生活の実態を見ればどのようないきさつでその場所に行ったかはまさに問題ではない。「慰安婦」とされた女性たちは、「慰安所」から逃れる自由も、日本軍兵士の相手を拒むことも許されず、自分の小部屋(時にはむしろ一枚で仕切られた空間)に体を横たえ、その小部屋の前に並んで順番を待つ何十人という兵士のなすがままにされてその日その日を送ったのである。
 このような被害者の被害事実は、実際に体験した者でなければ語れない貴重な歴史的証言としてすでにさまざまな形に客観化されている。この被害事実を直視すれば、このような女性たちの被害は「性奴隷」とされた被害であるとする国際社会の共通の理解に到達するはずである。橋下氏はこのような証言の一つでも読んだことがあるのであろうか?また彼が弁護士なら、証言も「証拠」のひとつとして事実認定において重要な価値を有することを知っているはずである。
                            基本を知って発言すべきだ
 第3に、公人として発言するからにはこの問題について、国際社会はどのように扱ってきたのか、知っていなければならない。国際社会は1992年以来、この問題を現在も繰り返されている女性に対する暴力の問題として重視し、日本政府に対し、上記のような被害を与えた責任を認め、これを真摯に謝罪し賠償すべきことを求め続けて来た。
河野談話はこのような国際社会の要求に一応答えたものとして扱われ、これを現実の政策で実行することこそが求められてきた。これを見直すようなことになれば日本に対する信頼はさらに崩れることになろう。
 国政に乗り出そうというなら、最低限、上記のような歴史的事実と国際社会の情勢の基本を知った上で、この問題についての発言をすべきである。
                        (おおもり・のりこ弁護士、中国人元「慰安婦」訴訟弁護団長) 


【参考】

1.河野談話

    外務相のウエブサイトに全文が掲載されています。
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/kono.html
慰安婦関係調査結果発表に関する
河野内閣官房長官談話

平成5年8月4日

 いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。
 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。
 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
 なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。

「慰安婦、強制連行の証拠ない」 橋下大阪市長が言及

2012.8.21 14:26 歴史認識

     2.橋下市長の慰安婦問題に関する発言について

      
「慰安婦、強制連行の証拠ない」 橋下大阪市長が言及
2012.8.21 14:26産経
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120821/lcl12082114280001-n1.htm
         大阪市の橋下徹市長は21日、日韓関係について記者団の質問に答え、いわゆる慰安婦問題について「慰安婦が(日本)軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられたという証拠はない。そういうものがあったのなら、韓国にも(証拠を)出してもらいたい」と述べた。 

 橋下市長は「(慰安婦の)強制連行の事実があったのか、確たる証拠はないというのが日本の考え方で、僕はその見解に立っている」とし、「韓国としっかり論戦したらいい」と話した。    

3.慰安婦の証言について
  慰安婦の証言については、
  http://www.awf.or.jp/3/oralhistory-00.html
  を参照。

4.最後に
 インターネット上では「慰安婦 証言」のキーワードでは慰安婦の証言を嘘だったと描くサイトが数多く見られます。しかし、それらのサイトは、列島の隣にあって歴史的にも言語的にももっとも私たち日本人と縁の深い朝鮮半島の方々、半島の民族に対する侮蔑や憎悪の感情に彩られているのが特徴です。そして、それらに掲載されている記事や新聞を注意深く読んでも、慰安婦の方々の既に明らかにされている証言とあわせて読むと、慰安婦の方々に対し、当時の日本の軍や官憲が行ったことは、あまりにも酷い行為であったことが痛恨の思いを伴って理解できます。
 そのことが理解できるなら、私たちの国(主に日本語を話す民族(日本人)を市民として構成される国)の政府は、半島の、主に朝鮮語を話す民族を引き継ぐ国の政府に対し、当時日本の軍や官憲が、彼らの子女に対して行った行為に対し、深いお詫びと謝罪の真心を持って、ずっと接していくべきだということになります。それが私たちの国と民族と市民を信頼して貰えるようになるための欠くことのできない原点・出発点だということになります。
 そして、こうした理解は、ついこの間に私たちの政府が国を挙げて遂行した日中戦争・太平洋戦争の痛恨の反省に立って、もう2度と暴力の行使やその威嚇によって他国に覇権をとなえるやり方は止めようと決めた日本国憲法の根本精神でもあり、私たちの再出発のためのアイデンティティと私たちの国際社会における誇りと矜持を構成するものなのです。
 「過ちは2度と繰り返しませぬから」
 ここを踏み外して、どうして品格ある国家など形成できるでしょう。
 ここを踏み外して、どうして民族や市民の誇りが語れるでしょう。
 それはない。
<平田元秀 wrote 2012.10.2>