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最判三小平成23年10月25日の射程と問題点  ( 裁判例watching   ) 2011/11/08
<最判三小平成23年10月25日の射程と問題点>

以下,上記最判を「本件最判」といいます。
本件最判について,現在コメントすべき点は次の点です。
(1) クレジット会社の過失(信義則上の加盟店調査義務)を問う不法行為構成でたたかうことに対して格段の障害にはならないこと(不法行為の過失について柔軟な立場を取る判例の立場は揺るぎないものです。)
(2) 割販法上の抗弁対抗(30条の4)はもちろんできること
(3) 民法上の抗弁対抗に関し,
   最判(3小)平成2年2月20日は,
  個別クレジット取引であろうと契約が別個であること(債権の相対効)を(ことさら)強調して,
 ① 購入者が業者の履行請求を拒みうる旨の特別の合意があるとき又は
 ② あっせん業者において販売業者の右不履行に至るべき事情を知り若しくは知り得べきでありながら立替払を実行したなど右不履行の結果をあっせん業者に帰せしめるのを信義則上相当とする特段の事情があるときでない限り抗弁対抗できないとしていたこと
(4) 割販法は,個別クレジット取引について,過量販売解除権,不適正勧誘取消権を創設したこと
(5) 本件最判は,
   最判(3小)平成2年2月20日の判例のスタンスのうち,
   特に,個別クレジット取引であろうと契約が別個であること(債権の相対効)
 を(ことさら)強調する立場を,意識的に踏襲していること。
  この点,契約が別個であるからといって,民法上は,l複数契約相互の密接関連性に鑑み,その一つが無効になった場合に,その契約が無効であったとすれば他の契約をしなかったと合理的に考えられるときは,当該他の契約も無効になると考えることが可能であり,かつ有力であるのに(法制審議会民法部会資料379頁),このような考え方を一顧だにせずに,「契約が別個である」ことのみを理由に,売買契約が無効となる場合に立替払契約が無効となるための特段の事情を極めて限定的に表現しており,そのことから,「契約別個」というそれ自体形式的で空疎というほかない理由をことさら強調する立場を踏襲したことが分かります。

(6) そのうえで,本件最判の規範について述べると,
Ⅰ)まず,全く無効となる余地はないと述べている訳ではなく,
  一応,信義則上相当な特段の事情があれば,売買契約と一体的に立替払契約
についてもその効力を否定することができると述べています。
Ⅱ)その事情について判決は,  
 ① 販売業者とあっせん業者との関係と,
 ② 販売業者の立替払契約締結手続への関与の内容及び程度と,
 ③ 販売業者の公序良俗に反する行為についてのあっせん業者の認識の有無及び程度と
 ④ 等
 があると述べています。
  
◎この最判の考え方については,個別クレジット契約を締結するクレジット業者に対して明定された加盟店調査義務の考え方(そこには,交渉補助者・媒介委託者の法理という民事的な基礎があります。)を無視している点で,割販法の趣旨目的・この改正を行った立法者が民事的によってたつ立場を害した(その意味で解釈論の限界に触れることをした)問題点を指摘することが出来ると思います。
 認識の有無・程度ではなく,認識すべきであったかどうかが,問われるべきなのに。
 また「勧誘一体」を民事的基礎に,過量販売解除,不適正勧誘取消を認めた改正割販法の立法者の民事的立場も害したといえるように思います。
 つまりは,国会で示された立法者意思に触れることをした。しかもそれは販売信用取引の公正と購入者の損害防止という当たり前の方向性とは逆の時代錯誤的な方向性に向かって。しかも理由を付さず「契約が別個だから」というだけの理由で。
 こういう最高裁判所の向かい方は問題があると言わざるを得ません。
 複合契約に関する民事ルールの定立によって立法者の民事的見解を立法者が明示的に示し,最判を乗り越えてしまう必要があると思います。
 民法(債権関係)改正のステージでこれを行うのが一番良いと思います。
<平田元秀2011年11月7日wrote>