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適切な医療行為を受ける期待権の侵害(最判二小平成23年2月25日)  ( 裁判例watching   ) 2011/06/05
最判(2小)平成22年2月25日判タ2108号45頁
【要旨】
医師が患者に対し,適切な医療行為を受ける期待権の侵害のみを理由とする不法行為責任を負うことがあるか否かは,当該医療行為が著しく不適切なものである事案について検討しうるにとどまるべきものである。

【参考判例】
○ 最判平成12年9月22日民集54-7-2574・判タ1044-75
「疾病のため死亡した患者の診療に当たった医師の医療行為が,その過失により,当時の医療水準にかなったものでなかった場合において,医療行為と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども,医療水準にかなった医療が行われていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証明されるときは,医師は,患者に対し,不法行為による損害を賠償する責任を負うものと解するのが相当である。」
○ 最判平成17年12月8日判タ1923-26
「なお,拘置所の医師が外部の医療機関に転送しないで上告人に対して行った診療は「生命の尊厳を脅かすような粗雑診療」であるから国家賠償責任がある旨の上告人Xの主張は,前記事実関係によれば,拘置所の医師は上告人に対して所要の治療を行っており,その診療が「生命の尊厳を脅かすような粗雑診療」であるということはできないから,前提を欠き,採用することができない。」

 判旨を,専門用語等を次のように置き換えて以下に紹介します。
 「被上告人」→本件患者 「上告人」→相手方 



  前記事実関係によれば,
 本件患者は,
 本件手術後の入院時及び同手術時に装着されたボルトの抜釘のための再入院までの間の通院時に,相手方医師に左足の腫れを訴えることがあったとはいうものの,
 上記ボルトの抜釘後は,本件手術後約9年を経過した平成9年10月22日に相手方病院に赴き,相手方医師の診察を受けるまで,左足の腫れを訴えることはなく,
 その後も,平成12年2月以後及び平成13年1月4日に相手方病院で診察を受けた際,相手方医師に,左足の腫れや皮膚のあざ様の変色を訴えたにとどまっている。
 これに対し,相手方医師は,上記の各診察時において,レントゲン検査等を行い,皮膚科での受診を勧めるなどしており,
 上記各診察の当時,下肢の手術に伴う深部静脈血栓症の発症の頻度が高いことが我が国の整形外科医において一般に認識されていたわけでもない。
 そうすると,相手方医師が,本件患者の左足の腫れ等の原因が深部静脈血栓症にあることを疑うには至らず,専門医に紹介するなどしなかったとしても,相手方医師の上記医療行為が著しく不適切なものであったということができないことは明らかである。
 患者が適切な医療行為を受けることができなかった場合に,医師が,患者に対して,適切な医療行為を受ける期待権の侵害のみを理由とする不法行為責任を負うことがあるか否かは,当該医療行為が著しく不適切なものである事案について検討し得るにとどまるべきものであるところ,本件は,そのような事案とはいえない。
 したがって,相手方らについて上記不法行為責任の有無を検討する余地はなく,
相手方らは,本件患者に対し,不法行為責任を負わないというべきである。