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4 パワハラ

1.パワハラ(パワーハラスメント)とは,仕事状の上下関係・権利関係を不当に利用することによる「嫌がらせ」「いじめ」を指します。

例えば,次のようなものが挙げられます。

  • 些細なミスを執拗に非難する。
  • 机を叩いたり,物を投げたりして,恐怖感を与える。
  • 意見の合わない(反論した)部下を,別の部署に異動させる。
  • 飲み会への参加を強制する。
  • 他の社員の前で,「死んでしまえ」「人間のくず」など相手の人格を否定する暴言で叱責する。
  • 無視をする。仲間はずれにする。
  • 正当な理由を装って,仕事を取り上げ何もさせない。
  • 相手の評判を落とすような,悪口や噂を言いふらす。

 

2.パワハラになるかどうかの判断基準としては,

  • 明らかに職務の範疇を超えた行為であること。
  • 被害者側が精神的苦痛を感じていること。

   ということになりますが,とても曖昧です。

 パワハラに遭った場合も,セクハラの場合と同じように対処して下さい。

3.パワハラによる労災保険申請

  労災保険とは、労働者災害補償保険法(一般的に「労災保険法」と略さています)に基づき、業務上の事由による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。

  労働災害が業務に起因した(業務起因性)と認められた場合には、保険給付がなされることになっています。例えば、パワハラにより、(1)療養が必要となった場合には、必要な療養費が、(2)休業することになった場合には、休業補償が、(3)精神疾患にかかったような場合には、障害の程度によって、障害補償年金が、(4)被災労働者が自殺するに至ったような場合には、遺族補償年金が、給付されます。障害補償年金や遺族補償年金は、被災労働者の逸失利益や慰謝料を填補するものといえるでしょう。

  従来、労働基準監督署長は、パワハラについて、上司の暴言には行き過ぎはあったが、決してそれが精神障害の発病の唯一の原因であるとはいえないとして、業務起因性を認めず、パワハラの労災認定について消極的傾向にありました。

 しかしながら、下記で紹介する東京地裁平成19年10月15日判決において、パワハラ自殺につき労災を認め労働基準監督署長の不支給処分を取り消したことを契機に、パラハラも労災として認定されるようになりました。

  パラハラを受けた被災労働者、及び、パラハラによって自殺した者の遺族は、所定の保険給付請求書に必要事項を記載して、被災労働者の所属事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長に提出することによって、労災保険を申請することができます。なお、労災保険は、下記の表のとおり、消滅時効期間(労災保険法第42条)があり、この期間が経過すると給付を受けられなくなりますので、注意が必要です。

 

4.パワハラによる損害賠償請求

 将来の逸失利益、被災労働者の慰謝料、遺族の慰謝料など、労災保険給付では、賄えない損害が生じる場合があります。

 この場合には、使用者(雇い主)および上司に対して、不法行為ないしは安全配慮義務違反を根拠に不足分について損害賠償請求をなしえます。労災保険給付の申請とともにすることが出来ますが、労災保険によって、受けた金額の限度で、使用者および上司の責任を控除するという形で受給調整がなされています(労災保険法第64条1項)。また、逆に、先に使用者および上司に対する損害賠償請求が認められた場合においても、認容された額に応じて、労災保険給付がなされない可能性があります(労災保険法第64条2項)。

  このように、二重取りは禁止されているものの、労災保険給付だけでは、賄えない損害が生じている場合には、使用者および上司に対して損害賠償請求をするという手段を採ることができます。なお、訴訟においては、精神疾患や自殺の原因として、上司のパワハラの他に、被災労働者の性格等もあったとして、心因的素因を理由とする過失相殺(3割~6割程度)がなされる事案も多いですが、組織ぐるみの職場いじめやパワハラの程度が著しい場合には、過失相殺がなされない傾向にあります。