ホーム
弁護士紹介
事務所概要
相談・依頼
顧問弁護士について
アクセス
平田元秀ブログ
吉谷健一ブログ
市民の法律相談室
doyou
horitu
問い合わせ
logo
管理画面へ
● 最近の5号関連裁判例

● 大阪高裁平成21年5月26日判決 家裁月報62巻4号85頁

● 別居期間が1年余りの夫婦について婚姻を継続し難い重大な事由があるとされた事例

● 要旨

 
  • 控訴人(夫)は,被控訴人(妻)と約18年にわたり大きな波風の立たないまま婚姻生活を送ってきていたが,80歳に達して病気がちとなった控訴人がかつてのような生活力を失って生活費を減じたのと時期を合わせるごとく,被控訴人が,日常正活の上で控訴人を様々な形で軽んじるようになった上,長年仏壇に祀っていた控訴人の先妻の位牌を無断で親戚に送り付けたり,控訴人の青春時代からのかけがえない思い出の品々を勝手に焼却処分したりしたことなどから,被控訴人と別居するようになったものであるところ,こうした被控訴人による自制の薄れた行為は,控訴人の人生に対する配慮を欠いた行為であって,控訴人の人生の中でも大きな屈辱的出来事として心情を深く傷つけるものであったこと,それにもかかわらず,被控訴人に控訴人が受けた精神的打撃を理解しようとする姿勢に欠けていることなどにかんがみると,控訴人と被控訴人の婚姻関係は修復困難な状態に至っており,別居期間が1年余りであることなどを考慮しても,控訴人と被控訴人との間には婚姻を継続し難い重大な事由があると認めるのが相当である。

    【コメント】 別居以外の破綻事情として掲げられることのある「同居に堪えないような重大な侮辱」の一例として整理することも可能ですが,要するに別居開始に至った事情や経過と別居後の経過あいまって,婚姻関係が修復困難な状態に至っているかどうかを常識に従って判断するものです。破綻主義を採用した「5号」にあたる事由として例示される別居及び別居期間やその他の事由は,要件的に捉えるべきものではありません。それらは「例示」であって,要するに,婚姻関係が修復困難な状態に至っていると判断された事例を整理してみると,そのような事由を理由にしている場合が多いというだけのことです。裁判例を整理して参考事情を提供するのは思考経済に資するものですが,もともと参考事情や例示に過ぎなかったものを,あたかもいずれかの教科書的破綻事由に該当することが離婚の「要件」のように捉える実務家も散見します。しかし,これは教科書の誤読です。民法770条1項5号の立法趣旨に照らし,実際には修復困難な関係にある当事者に,形骸化した婚姻関係の継続を裁判所が強いるようなことがあってはなりません。