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【判旨】

(1) 株式は,相続により当然相続分に応じて分割されない(最高裁昭和42年(オ)第867号同45年1月22日第一小法廷判決・民集24巻1号1頁等参照)。

  •  株式は,配当を受ける権利,残余財産の分配を受ける権利などのいわゆる自益権と,株主総会における議決権などのいわゆる共益権とを有するので,このような株式に含まれる権利の内容及び性質に照らせば,共同相続された株式は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。

 (2) 共同相続された委託者指図型投資信託は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。

  • 本件投資信託受益権は,口数を単位とするもので,
  • その内容として,法令上,償還金請求権及び収益分配請求権という金銭支払請求権のほか,信託財産に関する帳簿書類の閲覧又は謄写の請求権等の委託者に対する監督的機能を有する権利が規定されており,可分給付を目的とする権利でないものが含まれている。
  • このような上記投資信託受益権に含まれる権利の内容及び性質に照らせば,共同相続された委託者指図型投資信託は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。

 (3) 個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。

  • 個人向け国債の額面金額の最低額は1万円とされ,その権利の帰属を定めることとなる振替口座簿の記載又は記録は,上記最低額の整数倍の金額によるものとされており,取扱機関の買取りにより行われる個人向け国債の中途換金も,上記金額を基準として行われるものと解される。
  • そうすると,個人向け国債は,法令上,一定額をもって権利の単位が定められ,1単位未満での権利行使が予定されていないものというべきであり,
  • このような個人向け国債の内容及び性質に照らせば,
  • 共同相続された個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。

 
裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 寺田逸郎 裁判官 岡部喜代子 裁判官 大谷剛彦 裁判官 大橋正春 裁判官 木内道祥)