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(5)立法趣旨からは名義貸しの際の不実告知も「保護範囲」となること

 このような割販法取消権の立法趣旨に鑑みると,最判が判示するように,「立替払契約が購入者の承諾の下で名義貸しという不正な方法によって締結されたものであったとしても,」それが販売業者による「契約締結の動機に関する重要な事項」についての不実告知という悪質な勧誘行為がなされたために締結されたという場合には,与信業者は,販売業者による悪質な勧誘行為を調査する機会を当然有しているし,容易に把握できる立場にあるうえ,販売業者に業務を一任した責任があり,またそれにより利益を享受しており,報償責任を負うべき立場にあると考えられる以上,このような与信業者との関係では,「購入者が販売業者に利用されたとも評価し得る」訳ですから,「購入者として保護に値しないということはできない」といえます。
 立法趣旨に基づく保護範囲が上記のとおりであるがゆえに,主務省も,クレジット業者による販売業者調査義務の対象である割販法施行規則所定の「不実告知等による誤認の有無」(規則第76条11項5号)には,「例えば,名義貸しによって申込者に金銭的負担が不要と誤認させるなど,クレジットの不正利用となるような契約の勧誘行為の有無を確認することが本規定に含まれるものである。」と明確に整理して解説している訳です(「平成20年版割賦販売法の解説」183頁)。*1
 ところが,前掲の札幌高裁での名義貸しに関する「動機に関する重要な事項」の組み立て方は,「不実告知」といえるものを全て主要ないし重要ではないものとして切り捨て,「不実告知」といえないものをだけを切り出して,それは不実告知ではないと述べるというトートロジーを犯している訳です。これは,「立法者が何を保護範囲と考えていようと,名義貸しは許されない」といういわば「耳を塞いだ」立場であり,個別クレジットの取引態様や被害実態という立法事実を踏まえ,丁寧に専門的議論を積み重ねた主務省の審議会での議論や国民の代表機関である国会での成熟した議論の結果を踏まえず,いわば「素朴な正義感」で裁断した判決であって,最高裁でひっくり返されたのは理の当然であるといえます。

 

*1 平成21年5月28日開催の第2回消費経済審議会特定商取引部会割賦販売部会合同会合における所管庁の説明参照。