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● 最高裁判決の射程

(1)最判は,販売業者の依頼による名義貸しの事案で,「契約締結の動機に関する重要な事項についての不実告知」と評価することのできる「不実告知」について,本件事案を念頭に置いて,例えば「その依頼の際,契約締結を必要とする事情,契約締結により購入者が実質的に負うこととなるリスクの有無,契約締結によりあっせん業者に実質的な損害が生ずる可能性の有無などについて不実告知があった場合」などは,これに当たると例示的な判断をしたうえで,本件事案の場合には,重要事項の不実告知にあたるとしました。
 その上で,差戻審に,平成20年割販法改正後の契約者については,上記不実告知による「誤認の有無」を審理させること,平成20年改正前の契約者については,「契約者が名義貸しに応じた動機やその経緯を前提にしてもなお売買契約の無効(*1)をもってクレジット会社に対抗することが信義則に反するか否かなどについて審理させることにしました。

(2)最判が例示するような点について,不実告知が行われたとしても,レアなケースとして,契約者の中には,「この販売店は,実際には資金繰りに窮していて,私にはうまいことを言っているが,本当は,クレジットの仕組みを悪用して空クレジットをし,資金を不正に引き出そうとしていることを知っている。でも困っているなら助けてやろう。」というような認識がある場合もないとはいえません。さすがに,こういう場合には,不実告知を誤認しているとはいえないと考えられます。また,こういう場合には,割販法の抗弁対抗権の行使は,原則として信義則に違反すると考えられます。一審判決は,これを「購入者が販売業者においてクレジット取引を悪用してクレジット業者に損害を及ぼす意図であることを知りながら積極的に加担したという場合」と的確に挙示しています。もっとも,信義則の判断においては,クレジット会社の状況も考慮されるので,契約者側にこのような認識がある場合でも,クレジット会社の方でも,当該契約者が与信申込みをしている当該契約が本当は空クレジットだと知っていたという場合には,やはり信義則にも反しないと考えられます。誤認の有無や信義則の判断では,こうしたレアケースを処理することができます。
(3)差戻審では,こうしたレアケースの有無について,立証責任を負うクレジット会社側の主張・立証を待って判断をすることになります。(*2)

(*1) 原審札幌高裁は,一審同様,名義貸しかかる売買契約は心裡留保・通謀虚偽表示により無効と判断しています。

(*2) 差戻審では,平成29年中に契約者とクレジット会社との間で和解が成立し,事件は円満解決しています。