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(3)立法担当者の述べる立法趣旨との平仄の合致

 平成20年割販法改正の立法担当者は,従前から根絶されることなく続いてきた「悪質商法を助長するクレジット」(*1)の構造的問題に対処し,実効的な市場規制を通じて,購入者保護とクレジット市場の公正を期すため,昭和59年以来の割販法上の民事ルールである抗弁対抗規定を,個別クレジットの分野で,一歩進めることにしました。すなわち,個別クレジット取引で,特商法5類型にあたる取引を販売店が行うに際し,虚偽の説明(不実告知等)をして契約を締結させた場合には,抗弁を対抗して未払金の支払いを拒絶できるだけでなく,既払金の返還も請求できるものとしたのです。
 この際,既払金返還の民事ルールを立てるにあたって,その民法的基礎を何処に置くかが問題となります。

 審議会では,クレジット会社の適正与信義務を公法上の義務として規定することを前提として,信義則を拠り所とする等により「損害賠償責任」という民事効果を発生させる法律構成とする方法があるとの意見が出されました。また,売買契約が無効・取消・解除になった場合においては与信契約についても無効・取消・解除される等の法律構成により既払金返還を認めるという「共同責任」の提案もありました。さらに,民法準則としての報償責任に基礎を置く消費者契約法5条の媒介の法理を応用し,個別クレジット契約においては販売店が販売契約と与信契約を一体で勧誘している実態に鑑みて,取消原因を拡張し,消費者契約法4条,5条の特則となる不実告知等取消権として既払金返還を構成する方法などが考えられました。(*2)

 立法担当者は,この最後の構成を採用しました。(*3)

 最判が述べる「改正法は,あっせん業者が加盟店である販売業者に立替払契約の勧誘や申込書面の取次ぎ等の媒介行為を行わせるなど,あっせん業者と販売業者との間に密接な関係があることに着目し,特に訪問販売においては,販売業者の不当な勧誘行為が生じやすいことから,消費者契約法4条及び5条の特則として,販売業者が不実告知をした場合には,あっせん業者がこれを認識していたか否か,認識できたか否かを問わず,立替払契約の申込みの意思表示を取り消すことができることを認めたもの」という割販法取消権の立法趣旨は,上記の立法担当者の立法趣旨を正確に要約したものといえます。

(*1) 産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会(第11回)議事要旨参照
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004270/index11.html
(*2) 産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会平成19年6月中間整理6頁。
(*3) 産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会平成19年12月報告書10頁,経産省「平成20年版割賦販売法の解説」221~223頁。