ホーム
弁護士紹介
事務所概要
相談・依頼
顧問弁護士について
アクセス
平田元秀ブログ
吉谷健一ブログ
市民の法律相談室
doyou
horitu
問い合わせ
logo
管理画面へ
2.不実告知の捉え方に関する一審,控訴審,上告審の判断

(1)この点一審の旭川地裁は,呉服店の,「支払については責任をもってうちが支払う」「絶対に迷惑は掛けない」という説明は,要するに「支払負担を不要とする旨の説明」だと捉えました。支払負担を不要とするというのは,不実告知で,この点の不実告知がなければ一般通常人もクレジット契約の申込みをしなかったであろうと考えられる点で重要性が認められるので,取消権を定める割販法35条の3の13第1項のうち,具体的には「第6号」が規定するクレジット契約の動機に関する不実告知に含まれると解釈しました。
(2)これに対して,原審の札幌高裁は,こう言いました。
「改正後契約者らが立替払契約を締結した主たる動機は,本件販売業者が契約者らのジャックスに対する支払金相当額を補填すると約束した点にある。そして,本件販売業者は,改正後契約の締結時に,上記支払金相当額を支払う意思が全くないにもかかわらず,改正後契約に係る上告人らに対して上記約束をしたということはできないから,本件販売業者が告げた内容に虚偽はなく,取消権規定にいう不実告知があったとはいえない。本件販売業者は,改正後契約を媒介するに当たり,ローンを組めない高齢者等の人助けのための契約締結であり,上記高齢者等との売買契約や商品の引渡しは実在することを改正後契約に係る上告人らに告げているが,その内容は購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものに当たらず,不実告知の対象とはならない。」
要するに,札幌高裁は,販売店が名義貸しを頼んだ契約者にした勧誘文言のうち,不実といえる告知内容は,名義貸者の「主たる動機」といえるものではなく「重要」なものともいえない。契約者が名義貸しを応諾した主たる動機は販売店が「うちが支払う意思がある」と述べた点にあり,そう見る限り,そこは必ずしも不実告知とはいえない。だから,割販法取消権は使えない。そう判断しました。
これは,「名義貸人は保護しない」という結論を先に置いての,割販法取消権の解釈手法であるといえます。
(3)これに対して,最高裁判決は,こう述べました。
「立替払契約が購入者の承諾の下で名義貸しという不正な方法によって締結されたものであったとしても,それが販売業者の依頼に基づくものであり,その依頼の際,契約締結を必要とする事情,契約締結により購入者が実質的に負うこととなるリスクの有無,契約締結によりあっせん業者に実質的な損害が生ずる可能性の有無など,契約締結の動機に関する重要な事項について販売業者による不実告知があった場合には,これによって購入者に誤認が生じ,その結果,立替払契約が締結される可能性もあるといえる。このような経過で立替払契約が締結されたときは,購入者は販売業者に利用されたとも評価し得るのであり,購入者として保護に値しないということはできないから,取消権規定のうち6号に掲げる事項につき不実告知があったとして立替払契約の申込みの意思表示を取り消すことを認めても,同号の趣旨に反するものとはいえない。」
「(呉服店の告示内容について)その内容は,名義貸しを必要とする高齢者等がいること,上記高齢者等を購入者とする売買契約及び商品の引渡しがあること並びに上記高齢者等による支払がされない事態が生じた場合であっても本件販売業者において確実に改正後契約に係る上告人らの被上告人に対する支払金相当額を支払う意思及び能力があることといった,契約締結を必要とする事情,契約締結により購入者が実質的に負うこととなるリスクの有無及びあっせん業者に実質的な損害が生ずる可能性の有無に関するものということができる。
したがって,上記告知の内容は,契約締結の動機に関する重要な事項に当たるものというべきである。」