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検察官定年延長問題 兵庫県弁護士会の会長声明(2020/05/14)

 検察庁法改正法案の委員会採決が迫るなかで,検察官定年延長問題に反対する法曹や市民各界の動きが連日報道されています。弁護士会の動きについては,昨日(5月13日)の報道で以下のものがあります。

「全国38弁護士会が反対声明 検察官の定年延長巡り」

https://www.bengo4.com/lawyer/mypage/news/articles/43613/

兵庫県弁護士会も3月に会長声明を出しておりますので,下記に紹介します。


http://www.hyogoben.or.jp/topics/iken/pdf/200325iken.pdf

東京高等検察庁検事長の定年延長の閣議決定の撤回を求める会長声明
2020年(令和2年)3月25日
兵庫県弁護士会 会長
1 政府は,本年1月31日,東京高等検察庁検事長の黒川弘務氏が2月7日に定年
を迎えるところ,その勤務を半年間延長することを閣議決定した。
そして,本年2月10日の衆議院予算委員会にて,法務大臣は,検察官には国
家公務員法第81条の2の定年の制度は適用されないが,同条を前提とした同法
第81条の3による退職の特例である勤務延長の規定が適用できると解釈したと
して,本閣議決定は適法であると答弁し,また,同月13日の衆議院本会議でも
安倍首相がこれまでの解釈の変更を行った旨を答弁している。
 しかしながら,本閣議決定については,その必要性ないし理由につき合理性な
説明がされたとは認められないうえ,以下のとおり,検察庁法に反するものであ
って,法治主義の原則や刑事司法制度に対する信頼確保等の観点から重大な問題
があり,速やかに撤回されるべきである。
2 検察庁法は,検察官の定年について,同法第22条にて「検事総長は,年齢が6
5年に達した時に,その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する。」と
定めるところ,同法第32条の2は「検察庁法第15条,第18条乃至第20条
及び第22条乃至第25条の規定は,国家公務員法(昭和22年法律第120
号)附則第13条の規定により,検察官の職務と責任の特殊性に基いて,同法の
特例を定めたものとする。」と定めている。
 これは,検察官が公益の代表者として,準司法的作用である検察権を行使する
という職務と責任の特殊性があることから,他の行政権力からの独立性を維持す
ることが必要であることに基づくものであり,検察庁法第22条の定年に関する
規定は,一般法である国家公務員法の特例を定めたものとして,同法の適用を受
けないことが明らかである。
 そして,国家公務員法第81条の2は,定年に関する規定を定め,これを受け
て,同法第81条の3は,特別の事情等による勤務(定年)延長の規定を定める
が,これらの制度が導入された1981年(昭和56年)の国家公務員法改正案
の国会審議の際には,人事院は「検察官と大学教員は既に定年が定められ,国家
公務員法の定年制は適用されないことになっている」と明確に答弁しており,ま
た,当時の国会審議の関連資料として,旧総理府人事局が1980年(昭和55
年)10月に作成していた「国家公務員法の一部を改正する法律案(定年制
度)想定問答集」と題する文書にて,「検察官,大学の教員については,年齢に
ついてのみ特例を認めたのか。それとも全く今回の定年制度からはずしたのか」
という問いに,「定年,特例定年,勤務の延長及び再任用の適用は除外されるこ
ととなる」との回答が明記されていた。
 以上からすれば,一般法である定年に関する国家公務員法改正案が国会で成立
した際に,検察官には,国家公務員法による定年制度や勤務(定年)延長制度の
適用がなく,特別法である検察庁法に定める定年制度のみを適用することが明確
に確認されたものであり,かかる法解釈がその後何十年にもわたり維持されてき
たのである。
 したがって,本閣議決定は,明らかに検察庁法に違背している。
3 ところが,政府は,検察庁法が定める特例は,定年の制度と退職時期の二点だけ
であり,検察官も一般職の国家公務員であるため,勤務(定年)延長に関する国
家公務員法の規定が適用されるとして従来の解釈を変更した旨を明らかにした。
 しかしながら,検察庁法により定年の制度と退職時期に関して特例が定められ
ているにもかかわらず,それらと密接に関連して大きな影響を与えることが明ら
かな勤務(定年)延長に関する国家公務員法の規定が適用されるという必要性や
理由について合理的な説明がなされていない以上,かかる解釈の変更については,
到底許容できるものではない。
 法律の改正によらず,しかも,あたかも一検察官の退職日の延長のためだけと
考えられるような理由により,検察官の定年に関する法解釈を急遽変更するべき
必要性は全くない。
 政府によるこのような恣意的な法解釈の変更を許容することは,三権分立原則
や法律による行政の原則に反して,政府が国会の立法権を実質的に侵害すること
につながり,ひいては法の安定性が揺らぎ,法治主義の根幹を揺るがしかねない。
 さらには,このような検察庁法に違反する閣議決定によって,政府が検察の人
事に不当に干渉することを許せば,検察庁の独立性を脅かしたとの疑念を国民が
抱く可能性は否定できず,国民の検察庁に対する信頼のみならず,ひいては刑事
司法制度全体に対する信頼が大きく損なわれることになりかねない。
4 以上のとおり,今回の黒川弘務東京高等検察庁検事長に関する定年延長の閣議決
定は,検察庁法に反するのみならず,法治主義の原則や検察の独立性の維持,さ
らに,刑事司法制度への国民の信頼の確保の観点からも極めて重大な問題がある。
 よって,当会は,政府に対し,今回の閣議決定を速やかに撤回するよう求める
ものである。
                                 以 上