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消費者契約法改正案が修正の上衆議院で可決されました。(2018/06/04)

5月24日,消費者契約法改正案が修正の上衆議院で全会一致で可決しました(第196回国会閣法第31号)。これから参議院に付議されます。


Ⅰ 修正前の政府案の概要は,次の通りです。

  1.  事業者の行為により消費者が困惑した場合について、消費者が契約を取り消すことができる不当な勧誘行為の類型を追加する。
  2.  無効となる不当な契約条項の類型を追加する

  等の措置を講ずる。

<困惑類型の取消事由の追加>

  1. (不安をあおる告知)当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、進学、就職、結婚、生計等の社会生活上の重要な事項や容姿、体型等の身体の特徴等に関する重要な事項に対する願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、正当な理由がある場合でないのに、消費者契約の目的となるものが当該願望を実現するために必要である旨を告げること。
  2. (恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用)当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、消費者契約の締結について勧誘を行う者に対して恋愛感情等を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も当該消費者に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、当該消費者契約を締結しなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること。

<不利益事実の不告知による取消権の要件の緩和>

  • (故意要件に重過失を追加)事業者が、不利益事実の不告知により、意思表示をした場合に契約を取り消すことができるとされる現行規定において、「故意」に告げなかったこととされている要件を、「故意又は重大な過失」によって告げなかったこととすること。

<無効となる不当な契約条項の追加等>

  •  消費者が後見、補佐、または補助開始の審判を受けたことのみを理由として解除権を事業者に付与する条項、
  •  事業者の損害賠償責任の有無及び責任の限度を決定する権限を当該事業者に付与する条項(例:「当社が過失のあることを認めた場合に限り、当社は損害賠償責任を負うこととします」)、
  •  消費者の解除権の有無を決定する権限を事業者に付与する条項(例:「お客様は、弊社に過失があると弊社が認める場合を除き注文のキャンセルはできないものとします」)

  を追加するものとすること。

<事業者の努力義務>

  •  消費者契約の勧誘に際して事業者に課されている努力義務について、個々の消費者の知識及び経験を考慮した上で、消費者契約の内容についての必要な情報を提供することを明示するものとすること。

<施行時期>

 一部規定を除き、公布の日から起算して一年を経過した日から施行。

Ⅱ 衆議院消費者問題特別委員会による修正の内容は次の通りです。

<困惑類型の取消権事由の追加>

 次に掲げる行為が追加される内容です。

  1.  当該消費者が、加齢又は心身の故障によりその判断力が著しく低下していることから、生計、健康等に関しその現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、正当な理由がある場合でないのに、当該消費者契約を締結しなければその現在の生活の維持が困難となる旨を告げること。
  2.  当該消費者に対し、霊感等による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げること。

(コメント)

 今回の消費者契約法改正で,困惑類型に取消事由の追加が検討された背景には,民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることが予定されている中で,未成年者保護のために現場で強い力を持ってきた未成年者取消権も20歳未満から18歳未満に引き下げられてしまう。そうなると,18歳以上20歳未満の若年層をターゲットとして,デート商法などの消費者被害が発生し社会問題とならないかという点がありました。

 この観点から、政府案を見ますと、「進学、就職、結婚、生計等の社会生活上の重要な事項や容姿、体型等の身体の特徴等に関する重要な事項に対する願望の実現に過大な不安を抱いている」などというのは、若者を対象にしているとも読めますし,「恋愛感情等を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も当該消費者に対して同様の感情を抱いている」などというのも、若者を対象にしているとも読めます。しかし、法律に書き込むと、若者に限らず、高齢者だって、どの年代の人だって、こうした事情で困惑して契約を締結したなら取り消せます。困惑類型には、「脆弱な消費者」に対する取消権の拡張を目指す方向性とか「状況濫用型」に対する取消権を認める方向性などがあって、こうした方向性が政府部門でも建議・検討されてきました。もっとも、政府案は、これに加えて、「社会生活上の経験不足から」要件を書き込みました。これだと、普通に読めば、より一層若者だけを対象にしているように読めます。

 その点が今回国会の消費者問題対策委員会では問題になりました。上記の問題点を一定程度補うために,政府案が修正されました。一時は「不安をあおる告知」及び「人間関係の濫用」による取消における「社会生活上の経験不足から」という要件をの削除もあり得るかという情報もあったそうですが、結局、「不安をあおる告知」に絞って高齢者等を対象とする条文及び霊感商法を対象とする条文を追加するとする与党修正案が提案されたという流れのようです。

 参議院での審議に向けてさらに一層注目をしていかなければなりません。