レスキュー商法|姫路弁護団が特商法改正の意見書を発出
悪質水道工事被害姫路弁護団は、8月18日付にて、レスキュー商法に関する特定商取引法改正意見書を発表し、消費者庁取引対策課に送付して執行しました。
弊所には、同弁護団の事務局が置かれております。
以下、全文を掲載します。
レスキュー商法の予防と救済のための法律制度の改善に関する意見書
消費者庁 取引対策課 御中
2026年(令和8年)8月18日
悪質水道工事被害対策姫路弁護団
団 長 弁護士 山 﨑 省 吾
事務局長 弁護士 平 田 元 秀
1.はじめに
悪質水道工事被害対策姫路弁護団は、日頃から、各種消費者被害の救済に取り組んでいる兵庫県弁護士会姫路支部の弁護士の有志で2020年11月に結成された団体です。当時、水回りレスキュー商法被害が、兵庫県内に本社を置く事業者を中心に全国展開し、被害が多発して、地域の消費生活センターも対応に苦慮していたことから、弁護団を立ち上げる運びとなったものです。
弁護団は、2022年1月、「町の水道屋さん24h」などの名前で,Webのリスティング広告等を行っていた業者及びその関係者12名を被告として、神戸地裁姫路支部に提訴しました(姫路訴訟)。姫路訴訟は、2025年3月に一審で勝訴し、被告側が控訴しましたが、2026年7月29日控訴審でも全面勝訴しました。
弁護団は、今後、水回りに限らず、地域で起こるレスキュー商法に対する被害の予防と救済とための活動を継続する予定ですが、姫路訴訟に一区切りがついたことから、これまでの経験に基づき、御庁に対し、制度改善に関する意見のうち、さしあたり、特商法(訪問販売)の改正に関する意見を申し述べます(なお、本意見書とは別に、デジタル広告に対する法律制度の改善を求める意見については、現在検討中です。)。
2.特商法に関する立法案
悪質水道工事被害対策姫路弁護団は、消費者庁に対し、レスキュー商法の予防と救済のため、特商法に関し、次のような立法を求めます。
| ➀ レスキュー商法取引を6条の禁止行為として定義し、禁止する。 ➁ 6条の2で、合理的根拠資料の徴求権を付与し、みなし規定を入れる。 ➂ これにより、禁止違反を7条の指示等の対象、8条の業務停止の対象とする。 ➃ レスキュー商法にかかる相場情報の整備を行政の努力義務と関係事業者、事業者団体への協力要請権限の付与によって実現する。 |
その具体的な立法の試案は、次のとおりです。
⑴ ➀と➁の具体的な立法試案
ア 特定商取引法第6条の禁止行為に、第5項として、次の行為を追加する。
| 「販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る生活関連緊急対応取引(当該商品を購入し又は当該役務の提供を受けるべき事態が発生した場合に、緊急に当該商品を購入し、又は当該役務の提供を受けなければ、日常生活の維持に著しい支障が生ずるものとして主務省令で定める商品の売買又は役務提供をいう。以下この節において同じ。)の締結について勧誘をするに際し、相手方の窮状又は知識不足につけ込み、若しくは不安をあおる等の方法により、相手方の冷静又は適切な判断を妨げる行為をして、当該商品又は当該役務に関する標準的な料金水準を著しく上回る高額な対価を支払わせてはならない。」 |
イ 特定商取引法第6条の2の合理的な根拠を示す資料の徴収権に、第2項として、次の権限を追加する。
| 「前条第5項に掲げる事項につき、当該商品又は当該役務に関する標準的な料金水準を著しく上回る高額な対価を支払わせたか否かを判断するため必要があるときは、当該販売業者又は当該役務提供事業者に対し、期間を定めて、当該商品を引渡し、又は当該役務を提供したこと、及び当該商品の販売又は役務の提供に関する対価として相当であることの裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において当該販売業者又は役務提供事業者が当該資料を提出しないときは、次条第1項及び第8条第1項の適用については、当該販売業者又は役務提供事業者は、同項に掲げる事項につき、標準的な料金水準を著しく上回る高額な対価を支払わせたものとみなす。」 |
(注)
訪問販売による生活トラブル緊急対応取引を一律に行政監督の対象とすると、行政監督の範囲が過度に広がるおそれがある。この点、レスキュー商法が顕在化している水回り修理、鍵の修理、ロードサービス、害虫・害獣駆除等の分野においては、緊急性等につけ込んだ高額請求が反復継続的に発生し、暴利行為といえる被害が社会問題として顕在化している。こうした実情に鑑み、規制対象とするレスキュー商法(呼称例:生活関連緊急対応取引)は、省令で限定的に指定するものとすることが適切である。
後追いの対応とはなるが、行政監督の範囲の過度の拡張を避けつつ、現に多発する被害に対処するために必要かつ合理的な措置と評価できる。
⑵ ➂について
上記ア、イのような立法により、禁止違反を第7条の指示等の対象とすることや、第8条の業務停止の対象とすることが可能となる。
⑶ ➃について
消費者弁護士等が、消費者庁や地方自治体の行政窓口と連携協力して、裁判等の活用をも通じて、現に生じたレスキュー商法被害の回復を図っていくという観点からは、レスキュー商法に係る商品・役務の標準的な料金水準その他の相場情報が公表される仕組みが構築されていること、これにより、消費者が適正価格を判断できることが極めて重要である。
この観点から、レスキュー商法にかかる相場情報の整備を次のような行政の努力義務と関係事業者、事業者団体への協力要請権限の付与によって実現する。
【生活関連緊急対応取引に係る相場情報の整備等】(努力義務+協力要請権限)
| 第○条(生活関連緊急対応取引の相場情報の整備) 国及び地方公共団体は、生活関連緊急対応取引に係る取引の公正を確保し、消費者の利益を保護するため、関係事業者又はその団体と連携して、当該役務の標準的な料金水準その他の相場情報を整備し、これを公表するよう努めなければならない。 第○条の2(資料提出等の協力要請) 主務大臣又は都道府県知事は、前条の規定に基づく相場情報の整備に必要な限度において、関係事業者又はその団体に対し、料金体系、作業内容、作業時間その他の資料の提出その他の協力を求めることができる。 |
以 上

