交通事故相談のイロハ

 当事務所の弁護士は,被害者側の立場で,数多くの交通事故処理を行っています。ご相談の前に,交通事故相談のイロハについて見ておきましょう。

1.交通事故相談 最初の一歩

 交通事故相談の最初の一歩についてお話しします。

交通事故の損害項目について

 交通事故による損害賠償といった場合,概ね次のように損害項目(論点)を考え,整理していきます。

 まず,大項目として,「Ⅰ 物損」 と 「Ⅱ 人身」に分けます。

 次に,Ⅱの「人身」についてお話ししますと,損害項目は,大きく,「1 傷害」に関する損害と「2 後遺症」による損害に分かれます。
 その中で,1の「傷害」に関する損害については,大きくは

  • 治療関係費 (治療費・薬代・入通院交通費等)
  • 休業損害
  • 傷害慰謝料

 の3つの損害項目に整理することができます。

 次に,2の「後遺症」に関する損害については,大きく

  • 後遺症逸失利益
  • 後遺症慰謝料(死亡慰謝料)

 の2つの損害項目に整理することができます。

 人身の損害項目(損害に関する論点)は,このように大きくは5つに整理できるわけです。なお,「後遺症」「死亡」に関する損害としては,さらに

  • 将来の治療関係費
  • 葬儀費用

 の項目もあげることができます。

 次に,Ⅰの「物損」については,一般的な損害項目として

  • 車両物損(修理費ないし時価)
  • 雑費(レッカー代等)
  • 代車料

 の3つが考えられ,その他の論点項目として,

  • 評価損
  • 休車損
  • 営業損害
  • 積み荷その他の損害
  • 物損関連慰謝料

 等が考えられます。

何を用意するとよいか。

 交通事故相談では,相談の最初に,「交通事故証明書」を持参頂けると助かります。

 ほかに,何を持って来られた方が良いかは,一概には言えません。

 事故証明書を含め,交通事故の処理に当たり,弁護士として通常収集することとなる定型的な書類や,当然にお伺いするべきこととなる定型的な情報があります。これをざっと申し上げると次の通りとなります。参考としていただければと思います。

<私たちが通常収集することとなる定型的な書類・定型的な情報>

  1. 交通事故証明書 【書類】 (安全運転センター発行)
  2. 事故現場の地図・現場付近のストリートビュー 【情報】 (Googleで収集)
  3. 被害者及び加害者の任意保険会社・SC・担当者 【情報】
  4. 交通事故に関する弁護士特約による付保の有無 【情報】
  5. 被害車両・加害車両の所有者,運転者,同乗者 【情報】
  6. 被害車両・加害車両の運転者は業務上の事故であったかどうか。【情報】
  7. 実況見分調書などの刑事記録【書類】(検察庁)
  8. 物損事故賠償が問題となる場合
       …ⅰ 被害車両・加害車両の事故後写真【書類】,
       …ⅱ 車検証ないし登録事項証明書
       …ⅲ 修理費・代車使用料に関する見積書・請求書・領収書
       …ⅳ 営業車両の場合…休車損証明書類
         (事故車の事故前の売上・経費関係書類)
       …ⅴ 車両時価額疎明書類(レッドブック・イエローブックなど)

    ※ 以下は,人身賠償に関する書類・情報です。

  9. 診断書・レセプト,薬代の領収書・お薬手帳(処方箋)
       …その他治療及び治療関係費(文書料を含む)を裏付ける資料【書類】
  10. 入通院交通費を裏付ける領収書等【書類・情報】
  11. 事故前年の源泉徴収票ないし所得証明書【書類】
  12. 事故前3ヶ月間の給与明細書【書類】
  13. 休業損害証明書【書類】
  14. 自賠責後遺症診断書【書類】(後遺症が残る場合)
  15. 「後遺障害等級(事前認定)結果のご連絡」【書類】
  16. 自賠責支払通知書【書類】
  17. 仮払い明細書【書類】(加害者側保険会社等から入手するもの)

2.交通事故の損害認定の基本的な考え方について

 ここでは交通事故の損害認定のいわゆる弁護士基準について,日弁連交通事故相談センター東京支部のいわゆる「赤い本」に準拠して紹介します。

治療関係費(その1 治療費等)

1.治療費・薬代

 治療費・薬代は,必要かつ相当な実費全額を損害と認定します。

 必要性,相当性がないときは,過剰診療・高額診療として,損害が否定されることもあります。

 過剰診療とは,診療行為の医学的必要性ないし合理性が否定されるものをいい,高額診療とは,診療行為に対する報酬額が、特段の事由がないにも拘わらず,社会一般の診療費水準に比して著しく高額な場合をいうものとされています。

 最近は,整形外科の分野で,過剰診療・高額診療という形で損害が否定されるケースは少なくなりました。

2.診断書料等文書料

 損害の調査・確認のため必要かつ相当な範囲で認められます。

3.装具・器具等購入費

 装具・器具等の購入に要した費用は,必要があれば認められます。

4.鍼灸,マッサージ費用,器具薬品代等

 症状により有効かつ相当な場合,特に医師の指示のある場合などは認められる傾向にあります(「赤い本」2003年版322頁[合本Ⅲ192頁]「東洋医学による施術費参照)。事案に応じて,有効性,相当性が認められる事実をきちんと提示していくことが望まれます。

5.温泉治療費等

 医師の指示があるなど,治療上有効かつ必要がある場合に限り認められます。認められる場合にも相当額に限定して認める裁判例が見られます。

6.入院中の特別室使用料

 医師の指示ないし特別の事情(症状が重篤,空き室がなかった等)があれば認められます。

症状固定後の治療費

 症状固定後の治療費は,一般的には否定的に解される場合が多い。しかし,症状の内容・程度により,介護リハビリ費用等その支出が相当な場合には認められることがある。

治療関係費(その2 入通院交通費)

入通院交通費

 症状などによりタクシー利用が相当とされる場合以外は,電車,バスの料金。

 自家用車を利用した場合は,実費(ガソリン代,高速料金,駐車代)相当額。

 なお,看護・付添のための近親者の交通費も,被害者本人の損害として,認められる。

治療関係費(その3 入院雑費 付添費用)

1.入院雑費

 1日に付き1500円で入院雑費を算定します。

2.付添費用
(1)入院付添費

 医師の指示又は受傷の程度,被害者の年齢等により必要があれば職業付添人の部分には実費全額,近親者付添人は1日につき6500円が被害者本人の損害として認められる。

 但し,症状の程度により,また,被害者が幼児,児童である場合には,1割~3割の範囲で増額を考慮することがある。

(2)通院付添費

 症状または幼児等必要と認められる場合には,被害者本人の損害として認められる。この場合,「赤い本」基準は,1日につき3300円である。但し,事情により増額を考慮することがあるものとされている。ただし,幼児等の場合,実際の必要性・相当性を立証して必要な通院付添に要した損害を近親者が被害者本人の損害として請求することも可能というべきであろう。

休業損害(その1 休業損害)

1.給与所得者の休業損害

 事故前の収入を基礎として受傷によって休業したことによる現実の収入減とします。

 現実の収入減がなくても,有給休暇を使用した場合は休業損害として認められます。

 休業中,昇級・昇格のあった後はその収入を基礎とします。

 休業に伴う賞与の減額・不支給,昇級・昇級遅延による損害も認められます。

2.事業所得者の休業損害

 現実の収入減があった場合に認められます。

 なお,自営業者,自由業者などの休業中の固定費(家賃,従業員給料など)の支出は,事業の維持・存続のために必要やむを得ないものは損害として認められます。

3.会社役員の休業損害

 会社役員の報酬については,労務提供の対価部分は休業損害として認容されます。他方,利益配当の実質を持つ部分については,裁判例は消極的です。(「赤い本」2005年版下巻11頁「会社役員の休業損害・逸失利益」参照)。

4.家事従事者

 賃金センサス第1巻第1表の産業計,企業規模計,学歴計,女子労働者の全年齢平均の賃金額を基礎として,受傷のため家事労働に従事できなかった期間につき認められます。

 パートタイマー,内職等の兼業主婦については,現実の収入額と女性労働者の平均賃金額のいずれか高い方を基礎として算出します(「赤い本」2003年版294頁[合本Ⅲ169頁]「家事労働の逸失利益性」参照)。

5.無職者
① 失業者

 労働能力及び労働意欲があり,就労の蓋然性があるものは認められるが,「赤い本」では「平均賃金より下回ったところになろう」とされている。

② 学生,生徒等

 原則として認められないが,収入があれば休業損害が認められる。

 就業遅れによる損害は,休業損害として認められる。

休業損害(その2 生徒等の学費・保育費・通学付添等)

生徒等の学費・保育費・通学付添等について

 被害者の被害の程度,内容,子どもの年齢,家庭の状況を具体的に検討し,学習,通学付添の必要性が認められれば,妥当な範囲で認める。

  • 進級遅れの場合の授業料,補修費を認めた事例があります。
  • 家庭教師の謝礼を損害と認めた事例があります。
  • 受傷等によって無駄となった支払済み授業料等を損害と認めた事例があります。
  • 保育料を損害と認めた事例があります。
  • 通学付添費等を認めた事例があります。
  • 通学のため賃借したマンションの賃料等を認めた事例があります。
  • 家族の監護料を認めた事例があります。

傷害慰謝料(入通院慰謝料)

  1. 傷害慰謝料については,原則として,入通院期間を基礎として,「赤い本」別表Ⅰを使用します(「赤い本」別表は,法律事務所で法律相談時に入手することのほか,日弁連交通事故相談センター東京支部から購入して,ご覧頂くことができます。)

    通院が長期にわたり,かつ不規則である場合は,実日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることがあります。

    被害者が幼児をもつ母親であったり,仕事等の都合などを被害者側の事情により特に入院期間を短縮したと認められる場合には,上記金額を増額することがあります。なお,入院大気中の期間及びギプス固定中など安静を要する自宅療養期間は,入院期間とみることがあります。

  2. 傷害の部位・程度によっては,別表Ⅰの金額を20%~30%程度増額することがあります。
  3. 生死が危ぶまれる状態が継続したときや,麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったときや,手術を繰り返した時などは,入通院期間の長短に拘わらず,別途増額を考慮するものとされています。
  4. むち打ち症で,他覚症状がない場合は「赤い本」別表Ⅱを使用します(「赤い本」別表は,法律事務所で法律相談時に入手することの外,日弁連交通事故相談センター東京支部から購入して,ご覧頂くことができます。)。

    この場合,慰謝料算定のための通院期間は,その期間を限度として,実治療日数の3倍程度を目安とします。

後遺症逸失利益

1.逸失利益の算定方法

 後遺症による逸失利益は,

 ①基礎年収×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

で算定・計算します。

 その際,労働能力の低下の程度,収入の変化,将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性,日常生活上の不便等を考慮するものとされています。

 なお,死亡による逸失利益を算定する場合には,労働能力喪失率が100%である反面,将来の生活費がかからなくなった点を控除する必要がありますので,その逸失利益は,

 ①基礎年収×(1-生活費控除率)×③就労可能年数に対応するライプニッツ係数

で算定・計算します。

2.基礎収入(基礎年収)の考え方

(1)逸失利益算定の基礎となる収入は,原則として事故前の現実収入を基礎としますが,将来現実収入額を超えるの収入を得られることが立証されれば,その金額が基礎収入となります。

 なお,現実収入額が賃金センサスの平均賃金を下回っていても,将来平均賃金程度の収入を得られる蓋然性があれば,平均賃金を基礎収入として算定すればよいものとされています。

(2)基礎収入をめぐる基本的な考え方と論点については,裁判例を整理するに当たり,有職者か,家事従事者(主婦・主夫)・高齢者か,無職者か,失業者かといった視点で分けて考えると整理しやすいものといえます。

 重要な点ですが,各論的論点が多いので,ここでは割愛します。

3.労働能力喪失率について

 労働能力の低下の程度については,労働省労働基準局長通牒(昭32.7.2基発第551号)別表後遺障害別等級表を参考とし,被害者の職業,年齢,性別,後遺症の部位,程度,事故前後の稼働状況等を総合的に判断して,具体的に当てはめて評価するものとされています。 

 上記別表(後遺障害別等級表)によれば,

 等級第1級~第3級の後遺障害の労働能力喪失率は100%

  • 同第4級は92%
  • 同第5級は79%
  • 同第6級は67%
  • 同第7級は56%
  • 同第8級は45%
  • 同第9級は35%
  • 同第10級は27%
  • 同第11級は20%
  • 同第12級は14%
  • 同第13級は9%
  • 同第14級は5%

 とされています。

4.労働能力喪失期間

(1)労働能力喪失期間の始期は,症状固定日です。

 未就労者の就労の始期については,原則18歳とされていますが,大学卒業を前提とする場合には大学卒業時とするものと取り扱われます。

(2)労働能力得喪失期間の終期は,原則として67歳です。

 症状固定字の年齢が67歳を超える者については,原則として簡易生命表の平均余命の2分の1を労働能力喪失期間とするものとして取り扱われます。

 簡易生命表は厚生労働省がウエブサイトで発表しています。

 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life12/dl/life12-06.pdf

 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life12/dl/life12-07.pdf

 症状固定時から67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の2分の1より短くなる者の労働能力喪失期間は,原則として平均余命の2分の1と取り扱われます。

 もっとも労働能力喪失期間の終期は,職種,地位,健康状態,能力等により,上記の原則とは異なった判断がされる場合もあります。

 また,事案によっては,期間に応じた喪失率の低減を認めることもあります。

(3)むち打ち症の場合には,12級で10年程度,14級で5年程度に制限する例が多く見られますが,後遺障害の具体的症状に応じて適宜判断すべきとされています。

(4)中間利息控除(ライプニッツ係数)

 労働能力喪失期間の中間利息の控除については,ライプニッツ式によるものと取り扱う裁判所が多く,神戸地裁管内でライプニッツ式によって処理されています。

 中間利息控除の基準時については,症状固定時とするのが実務の大勢です。

後遺症慰謝料

死亡慰謝料・後遺症慰謝料について

1.死亡慰謝料

 「赤い本」の示す基準は,次の通りです。

 一家の支柱  2800万円

 母親,配偶者 2400万円

 その他    2000万円~2200万円

  * その他とは,独身の男女,子ども,幼児等を指すものとされています。

2.後遺症慰謝料
(1)等級別慰謝料基準(「赤い本」)

  第1級 2800万円   第8級  830万円

  第2級 2370万円   第9級  690万円

  第3級 1990万円   第10級 550万円

  第4級 1670万円   第11級 420万円

  第5級 1400万円   第12級 290万円

  第6級 1180万円   第13級 180万円

  第7級 1000万円   第14級 110万円

(2)近親者の慰謝料

 重度の後遺障害の場合には,近親者にも別途慰謝料請求権が認められます。

(3)自賠責等級14級に至らない後遺症について

 自賠責14級に至らない後遺症があった場合等については,それに応じた後遺症慰謝料が認められることがあります。

(4)慰謝料の増額事由

 加害者に故意若しくは重過失(無免許,ひき逃げ,酒酔い,著しいスピード違反,ことさらな赤信号無視等)または著しく不誠実な態度等がある場合,慰謝料の増額事由となるものと取り扱われることが多いといえます。

将来の治療関係費(装具・器具,家屋等改造費など)

(1)装具・器具等

 装具・器具等の購入に要した費用は,必要があれば認められます。

 義歯,義眼,義手,義足,その他相当期間で交換の必要があるものは,将来の費用も原則として全額認められます。

 上記の外に,「赤い本」では,メガネ,コンタクトレンズ,車イス(手動・電動・入浴用),盲導犬費用,電動ベッド,介護支援ベッド,エアーマットリース代,コルセット,サポーター,折りたたみ式スロープ,歩行訓練器,歯・口腔清掃用具,吸引器,障害者用はし,脊髄刺激装置等があると紹介されています。

将来介護費

 症状固定後の,将来介護費については,医師の指示または症状の程度により必要があれば被害者本人の損害として認められる。

 職業付添人は実費全額,近親者付添人は1日について8000円。但し,具体的監護の状況により増減することがある(「赤い本」2004年版332頁[合本Ⅲ257頁]「重度後遺障害に伴う諸問題~将来の介護費用を中心として」等参照)。

葬儀関係費用

 葬儀費用は,原則として150万円です。但し,これを下回る場合には,実際に支出した額を認定します。香典については損益相殺を行わず,香典返しは損害と認めない取扱です。

  • 仏壇・仏具購入費,墓碑建立費を別途認めた事例があります。
  • 遺体搬送料,遺体処置費を別途認めた事例があります。

最近の重要裁判例

 交通事故に関する最近の重要な最高裁判例その他の判例を紹介します。

 症状固定認定手続から訴訟提起までを一連一体の請求行為と捉え除斥期間の適用を排除した裁判例

 水戸地裁下妻支部平成25年10月11日・判例時報2222号83頁

【判旨】

民法724条後段の適用の有無
民法724条後段の20年の期間は、除斥期間を画一的に定めたものと解するのが相当。

 

本件
  • 本件交通事故は自動車損害賠償責任保険の付保されている交通事故であるところ、原告は、平成24年8月8日に後遺障害について症状固定の診断を受け、その診断書を被告側任意保険会社に提出して自動車損害賠償責任保険の事前認定の手続を進めさせ、平成24年9月26日ころに後遺障害は併合第10級に該当するとの認定を受け、それから6ヶ月以内の日である平成25年2月23日に当庁に本訴を提起したが、
  • 同訴提起日は本件交通事故の日である平成4年12月29日からは20年以上が経過している。
検討
  • そこで検討するに、
  • 平成24年8月8日に後遺障害について症状固定の診断を受けたとしても、そのことをもって原告に対して事前認定の結果が出る前の事前認定手続期間中に訴えの提起を求めるのは困難である(仮にそのような訴えの提起があったとしても、交通事故損害賠償請求訴訟の実際に鑑みれば、訴訟が動き出すのは事前認定の結果が出てからになると思われ、そのような訴えの提起を敢えて求めることに意味があるとも思えない)こと
  • 及び
  • 事前認定を受けた平成24年9月26日ころから訴えの提起を準備するとしても、それから6ヶ月の期間は通常必要と認められること
  • からすれば、原告が症状固定の診断書を被告側任意保険会社に提出して事前認定の手続を進めさせてから平成25年2月23日に本訴を提起するまでの経過は、原告が本件交通事故による損害賠償請求権を行使する一連一体の行為と捉えることができ、
  • そうすると、本件では本件交通事故から20年の除斥期間内において権利行使がなされたと見るのが相当であるから、
  • これによって除斥期間の満了は阻止されたことになると判断するのが相当である。
  • 以上のように自動車損害賠償責任保険の付保されている本件交通事故においてその損害賠償請求権行使の行為を一定の時間的な幅を持つものと捉えたとしても、その幅は症状固定の診断書を提出して事前認定の手続を進めさせてから認定結果が出るまでの事前認定手続期間及び事前認定から6ヶ月の訴え提起準備期間に限られているから、法律関係を画一的に確定しようとする除斥期間の趣旨を乱すことはないというべきである。
結論

 以上のとおり、本件では民法724条後段の適用はない。