選挙制度について

 都議選に参議院選挙と選挙が続くシーズン,今回は選挙制度について取り上げようと思います。
 現行の衆議院選挙制度は,小選挙区制と比例代表制を並立した形になっています。
 制度を検討するため,昨年末に自由民主党が大勝した衆議院議員総選挙について,総務省のデータを見てみましょう。

 http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/data/shugiin46/index.html

 まず,小選挙区制について,自由民主党の獲得議席は237であるのに対して,民主党は27。実に10倍という大差です。これだけの議席を獲得するのにどれだけの票を得たのかとみると,自由民主党の得票率は43.01%,民主党の得票率は22.81%。ダブルスコアですらありません。
 一方,比例代表制についてみると,自由民主党の獲得議席は57であるのに対して,民主党は30。得票率は,自由民主党が27.62%,民主党が16.00%。こちらは概ね議席数と得票率が一致します。
 小選挙区制のメリットとして,「少ない得票数でも他の政党を上回れば多数の議席を得られるため,政権交代が生まれやすくなる」ということがいわれます。しかし,政権交代という結果だけをみればいいのか。
 国会の意思決定は最終的には多数決で決まることになります。しかし,数だけで決めるのであれば国会という議論の場は不要なのであって,前提となる議論のプロセスこそが重要なのですから,その議論の場での意見の多様性は確保されるべきものです。そうであるとすれば,その国会の構成員を決める選挙もまた,多様な民意が反映されるべきもので,得票よりも過剰に多い議席を与える選挙制度は,議論のプロセスを軽視していると言わざるを得ません。
 最近,国会議員の定数削減の問題が取り沙汰されており,比例代表枠の削減に力を入れているようですが,削減の仕方についてはもう少し再考の余地があるのではないかと思われます。