SNS投資詐欺-デジタル広告に対する法規制の強化を求める意見書(日弁連)
はじめに
SNSをきっかけとした投資詐欺の被害が、これまでにないスピードで拡大を続けています。 警察庁の統計では、2025年のSNS型投資詐欺の被害額は約1,275億円とされています。 この詐欺の“入口”となっているのが、私たちが日常的に目にするデジタル広告です。 広告を表示する巨大テック企業は、莫大な広告収入を得る一方、その仕組みを悪用した詐欺広告が氾濫し、被害は増え続けています。
こうした状況を受け、日本弁護士連合会(日弁連)は2026年3月19日、
SNS型投資詐欺等による被害を防止するため、消費者の権利・利益を侵害するデジタル広告に対する法規制を求める意見書
を公表しました。
意見書は、単なる「広告の適正化」を超え、プラットフォーム事業者に事前調査義務・削除義務・広告主の本人確認義務など、実効性のある規制を課すべきだと立法提言しています。
以下、その要旨を紹介します。
なお、関連するblogに、SNS投資詐欺-日弁連が無登録業者への法執行強化を提言があります。
意見の趣旨
日弁連は、SNS型投資詐欺などの被害拡大を踏まえ、デジタル広告に関し、次の法規制を行うよう、国に求めています。
「大規模プラットフォーム提供者」に対し、次の法的義務を定めること
(1) 広告の事前調査義務
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広告が「消費者権利侵害デジタル広告」に該当するかを事前に調査し、該当すると判断した場合は掲載・送信を禁止する。
(2) 違法広告の迅速な削除義務
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消費者からの申出等により違法性が判明した広告は、遅滞なく掲載・送信を停止する。
(3) 広告主の本人確認義務
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広告出稿者に対し、所在情報・本人確認情報等の提供を求める義務を課す。
(4) 審査・削除状況の公表義務
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上記⑴、⑵の措置の実施状況(調査数、非掲載件数、削除件数等)を透明性確保のため公表する。
「大規模プラットフォーム事業者」に対する国の監督権限を定めること
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報告徴収、勧告、措置命令に加え、課徴金納付命令なども含めた、実効性ある行政権限を国に付与する。
意見の理由
立法提言の背景となる事実
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SNS型投資詐欺の被害額は2025年に約1,275億円と急増している。
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SNS型詐欺被害の多くは、プラットフォーム提供者が表示する広告を端緒として発生している。
その内容は、「容易にお金が稼げる」、「投資のノウハウを教示する」などとうたった広告をクリックさせ、ランディングページにてLINEやテレグラム等を使ったクローズドチャットに誘導し、投資や副業に見せかけて資金を詐取するような類型が大半である。 -
消費者被害が深刻化する中、特に大規模プラットフォーム提供者が、莫大な広告収入を得ている現状が見過ごされている。Meta社が、自社のSNS上の詐欺や販売禁止品等の不正広告による収入が売上高の1割にあたる160億ドル(約2兆5000億円)に上ると見積もっていたことが内部文書から明らかになったと報道されていることからも分かるとおり、大規模プラットフォーム提供者には、違法広告を放置するインセンティブが存在している。
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欧米、特に欧州においては、実質的に大規模なプラットフォーム提供者に対して広告監視義務を課し、課徴金制度をもって規制を実効的なものにしている。
法規制の在り方について
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政府の「国民を詐欺から守るための総合対策」では、大規模プラットフォーム提供者に対し、実効的な広告審査の推進や削除等の適正な対応を求め、削除対応の迅速化や透明化に係る措置の義務付を内容とする法整備を進める方針も示されているが、それだけでは不十分である。
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業界の自主的な努力による解決には多くを期待できない。
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広告の適正化のためには適正な調査権限を有する者によるガバナンスが必要であり、少なくとも欧州のDSA法と同規模の規制が導入されるべきである。

