今日の言葉-アジサイ

<今日の言葉>
:アジサイ
 辺見庸の「言葉と死」(毎日新聞社)から
「きょうびのこの国は,けだし,満目不気味な背理の風景ばかりではある。マスコミだけではない。正当が党員を,労働組合が組合員を,宗教団体が宗徒を,教員が生徒を,司法が憲法を,弁護士が被告人を,言葉が現実を,哲学者が自身を,それと意識せずに裏切り続け,かと思えば,関係が逆転し,逆に裏切られつづけてもいる。
 50年代と変わらないのは,たぶん,メディアの寵児たちの,妙に自信たっぷりで不遜な口吻であろう。そして,いまも昔も,時代と和解的な評論家や学者たちは,みずからの変節にまったく臆するということがない。アジサイの花言葉も,そういえば『高慢』であった。問題は,裏切りの花たちの花期だ。それが果てたなら,いったいどんな風景が立ち上がるのだろうか。」


 辺見庸さんは,なんというか社会に向けた思考に,いいんだけれども,少し加齢臭がしますね。それでも,それだけに少し気になる。

<平田元秀Writing>

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