後見人への報酬付与額の分布を公表(最高裁)
成年後見人等の報酬額の目安
「成年後見人等の報酬額がどの程度か」というのは、成年後見制度に関する相談現場で、いつも寄せられる質問です。ところで、この点については、2013年(平成25年)1月1日付けで、東京家裁・東京家裁立川支部が、「成年後見人等の報酬額のめやす」を公表しており、この「めやす」の考え方は、2025年(令和7年)4月1日現在でも、参考となるものとして、最高裁ホームページ上で掲示されています。「めやす」での成年後見人等の報酬についての考え方は、次のとおりです。
基本報酬
⑴ 成年後見人等
成年後見人、保佐人、補助人が,通常の後見事務を行った場合(基本報酬)
管理財産額(=流動資産の合計額)が1000万円以下 :月額2万円(年間24万円)。
管理財産額(=流動資産の合計額)が1000万円超~5000万円以下 :月額3~4万円(年間36~48万円)
管理財産額が5000万円超 :月額5~6万円(年間60~72万円)
⑵ 成年後見監督人
成年後見監督人、保佐監督人、補助監督人、任意後見監督人が、通常の後見監督事務を行った場合(基本報酬)
管理財産額が5000万円以下:月額1~2万円(年間12~24万円)
管理財産額が5000万円超 :月額2.5~3万円(年間30万円~36万円)
付加報酬
- 成年後見人等の後見等事務において、身上監護等に特別困難な事情があった場合には、上記基本報酬額の50%の範囲内で相当額の報酬を付加する(付加報酬)。
- 成年後見人等が、例えば、報酬付与申立事情説明書に記載されているような特別の行為をした場合には、相当額の報酬を付加することがある(付加報酬)。
複数成年後見人等
成年後見人等が複数の場合には、上記基本報酬及び付加報酬を、分掌事務の内容に応じて、適宜の割合で按分する。
後見人への報酬付与額の分布
最高裁判所事務総局家庭局は、令和7年5月、法定後見制度の後見人等について、「全国の認容で終局した報酬付与申立事件について、報酬付与額の分布を公表」することとし、スライドで、次のとおりその概要を公表しました。法務省法制審議会民事部会(成年後見人等関係)の資料として公表されたものです。

家庭局の上記分布分析が想定する統計項目は、次のとおりです。
① 流動資産額(現金、預貯金(*)、有価証券の合計)別
② 類型別(後見、保佐、補助、法定後見監督(**)、任意後見監督)
③ 後見人の属性(親族、非親族の別)
④ 付加報酬の求めの有無
* 預貯金に後見制度支援信託・後見制度支援預貯金は含まない。
** 後見監督、保佐監督及び補助監督につき、各類型ごとにグラフを作成するかは引き続き検討。
上記グラフによれば、親族ではない後見人で付加報酬の求めがある事案では、後見人の報酬は、
⑴ 被後見人等の流動資産額が100万円未満の場合:20万円台が7割、10万円台が2割強程度、
⑵ 流動資産額が100万円以上500万円未満の場合:20万円台が7割、10万円台が2割弱程度、
⑶ 流動資産額が500万円以上1000万円未満の場合:20万円台が8割弱、10万円台が1割強程度、
⑷ 流動資産額が1000万円以上5000万円未満の場合:30万円台が5割弱、40万円台が2割弱、50万円台が1割強、10万円台が1割弱となっています。
これによれば、裁判所では、概ね、東京家裁の上掲の成年後見人等の報酬額のめやすの考え方で運用されてきていることが分かります。
2025年6月11日Up
2025年11月10日改訂
2025年12月11日修文


