「世界一わかりやすい世界史の授業」村山秀太郎著(中経出版)
今日は,東京出張があったので,電車の読み物に,キオスクで買った見出しの本を読みました。
「もういちど読む山川世界史」と同等の質を保ちながら楽しく軽く読める,いい読み物だと思いました。
以下は,「まさに雑学」 ですが,面白いのを,備忘録ついでご紹介します。
- ギリシャ人のポリスは川など水源をめぐっていつも抗争し,統一へは向かわない独立国家でした。ライバル(rival)という語はリバー(river)の派生形だそうです。
- 明治時代の偉人が「民主主義」と訳した英語の元々のギリシャ語「demokratia」はデーモス(民衆)とクラトス(権力・支配)の合成語。
デマゴギーのデマ(デマカセのデマ)も,デーモン(悪魔)も,デーモスと同根の語とのことです。 - 7月をJulyというのは,ユリウス=カエサルが第7の月生まれだから。8月をAugustというのは,アウグストゥスが第8の月に生まれたから。Septemberは,派生語のsevenが7を意味するように,本来は7月を意味していたが,JulyとAugustが入れられたため,9月になったのだそうです。(ピカイチの雑学ですね!ちなみに,娘に聞くと「知っている。世界史で習った。」んだそうです。世界史の授業も私たちの頃とはまたひと味違ったものになっているようです。)
- なぜドルは$と表記されるのか?通貨はdollarなのに。
ローマ帝国のコンスタンティヌス帝(274?~337)が採用したソリドゥス金貨の$のマークを借用しているからだそうです。アメリカ合衆国は,国造りに際し,ローマ帝国を最初から意識していたわけですね。 - カトリック(Catholic)という語は「普遍」という意味だそうです。
村山秀太郎はこのことを「地面にキリスト教という光を当てて,『あらゆる宗教概念』を浮き彫りにして,キリスト教にとり込んでいく宗教がカトリックというわけですね。」と表現しています。 - なぜシチリアではマフィアが生まれたのか。
シチリア島では支配者がころころかわり,公権力への信頼の欠如が為政者とは別個のマフィアという自警団を生んだものとされているようです。ギリシャ,カルタゴ,ローマ,ノルマン,ドイツ(ホーエンシュタウフェン家),アンジュー=シチリア家・・確かに。 - イングリッシュの語源。
ローマ人は,捕虜にしたアングロ=サクソン族をローマに連行した際,檻に入れて見世物にした。金髪で青い目のアングロ=サクソン族を見たローマ人は天使(アンヘル)だと思った。
そうして,アンヘルから エンジェル,そしてイングリッシュという言葉が生まれたのだそうです。 - ちょっと雑学の毛色が異なるのを一つ。
フランス人権宣言(1789年8月26日・人間および市民の権利宣言)の要点は。
所有権(私有財産)の神聖不可侵,人間の自由と平等などがうたわれたもの。
国民議会では,教会財産を没収してその土地を担保に紙幣を発行。
そして貴族の称号やギルドを廃し,同時にル=シャプリエ法により労働者の団結を禁止し,営業の自由を目指したもの。
封建的独占体制を排除し,自由主義貴族を中心とする自由経済へと構造を改革することが所期されたものです。
今でいえば,「新自由主義的な改革」ということになりますね。振り子は振り返すのですね。
現代社会は、労働者の団結権が、憲法と法律と判例で保障される社会になり,営業の自由は,もとより,「より傷つきやすいもの」との関係では権利性を主張し得ないものとなっています。
「ギルド」も、学問の自由を制度的に保障する大学の自治や、人権や社会正義を制度的に保障する法曹自治という観点からは、大事に保全するべきものと再認識されてしかるべき時代ですね。 - フィリピンという国名はスペインのフェリペ2世のフェリペから来たそうです。
Wikipediaでも,1543年ルイ・ロペス・デ・ビリアロボス率いるスペイン船団が,サマール島とレイテ島に到着しこれら諸島をフェリペ皇太子(後のフェリペ2世)にちなみラス・イスラス・フェリピナス(Las Islas Felipinas,フェリペナス諸島)と命名したと紹介されています。 - ワシントンD.C.の「D.C.」って何?
「D.C.」は,the District of Columbia(コロンビア特別区)の略称とのことだそうです。ふーんそうだったんだ。
で,Wikipediaを調べてみますと,法律上の正式名称は「District of Columbia」(コロンビア特別区)だが、「The City of Washington」(ワシントン市)と「Territory of Columbia」(コロンビア領域)が統合されて成立した歴史的な経緯から、一般にはワシントン・コロンビア特別区(英:Washington, District of Columbia)、これを省略してワシントンD.C.と呼び、「Washington, The District」、または単にD.C.とも通称する。日本語ではワシントン市、首都ワシントン、または単にワシントンと呼ぶことも多い。 だそうです。
ま,このくらいにしておきましょう。
<平田元秀wrote>