日本はどこへ向かうのか ― 解散総選挙と安全保障
(※本稿の整理にはAIを活用しています)
今回の解散総選挙は、日本の安全保障政策にとって、単なる政権選択ではなく、今後の日本の進路を左右する分岐点になると感じています。憲法、外交、安全保障、インテリジェンスといった国の進路の根幹的な方向性が、暗黙裏にではあれ、ここまで大きく問われている選挙は多くありません。
いま私たちが直面している国際環境は、戦後のどの時期とも異なるほど不確実性を増しています。 ロシアのウクライナ侵略、中国の日本に対する経済安全保障上の圧力、そして米国自身の同盟政策の揺らぎ。 これらはすべて、「大国であり安保理常任理事国である国々が、国際法や国際秩序を必ずしも尊重しない」という現実を示しています。
さらに、北朝鮮による核兵器開発や弾道ミサイル能力の高度化、サイバー攻撃など、日本の安全保障に直接影響を与える多層的な不安定要因も存在しています。こうした複合的な脅威の中で、日本の安全保障に関する見方は大きく二つの方向に分かれています。
1. 二つの立場 ― 「どの現実を優先するか」で分岐する安全保障観
安全保障政策の議論は、立場の違いが対立的に見えがちですが、実際には 「どの現実を優先するか」 という価値判断の違いが根底にあります。
(図表1)二つの安全保障観の基本構造
| 観点 | 軍事抑止重視派 | 軍事依存からの構造転換派 |
|---|---|---|
| 優先する現実 | 目の前の軍事的脅威 | 軍事対軍事の構造が生む長期的リスク |
| 基本前提 | 軍事力と同盟が抑止の核心 | 外交・国際法・協調が安定の基盤 |
| 時間軸 | 即応的・短期的 | 構造的・長期的 |
| リスク認識 | 軍事力不足が危険 | 軍事依存が危険 |
| メリット | 即効性のある抑止 | 軍拡競争を避ける |
| デメリット | 巻き込まれ・軍拡 | 協調不成立時の空洞化 |
2. 日米同盟の不確実性 ― 両者の立場を揺さぶる「第三の現実」
近年、米国の政権交代に伴う外交方針の変動、同盟国への負担要求、関税圧力などが示すように、戦後日本の軍事・外交戦略の基盤を成してきた 「日米同盟」が「自動的に機能するとは限らない」 という現実が浮かび上がっています。
(図表2)日米同盟の不確実性が与える影響
| 観点 | 軍事抑止 × 同盟不確実性 | 構造転換 × 同盟不確実性 |
|---|---|---|
| 同盟の揺らぎの解釈 | 抑止力の危機 | 軍事依存の危険性の露呈 |
| 求める方向性 | 自主防衛強化・同盟再強化 | 多国間協力・外交枠組み強化 |
| 台湾有事 | 日本の軍事的役割増大 | 武力行使回避の外交枠組み |
| リスク | 軍拡・財政負担・エスカレーション | 抑止力の空白・即応力不足 |
| メリット | 即効性・軍事的安定 | 長期的安定・巻き込まれ回避 |
3. 現実の脅威を前提にした政策パッケージと代替案の比較
今回の選挙では、与党である自民・維新が提示する政策パッケージ(いわゆる「12本の矢」)のうち、 特に 憲法・外交安全保障・インテリジェンス政策 が、大きな争点となっています。
ここでは、法律家としての視点から、 構造転換派が提示しうる代替案 を整理し、比較します。
(図表3)軍事抑止重視派と構造転換派の政策比較
| 領域 | 軍事抑止重視派(与党政策パッケージ) | 構造転換派の代替案の方向性 |
|---|---|---|
| 憲法 | ・安全保障関連の憲法改正 ・緊急事態条項の創設 |
・個別的自衛権の範囲での自衛隊運用 ・災害対応は現行法強化で対応 ・国会のオンライン化・迅速審議体制 |
| 外交・安全保障 | ・長距離ミサイルの保有 ・原子力潜水艦(SSN/SSBN)の保有 ・自衛隊の国際標準化 ・日米共同作戦能力の強化 |
・防御的ミサイル防衛の強化 ・領域警備の強化(海保・警察) ・サイバー防御能力の強化 ・危機管理ホットライン・衝突回避協定 |
| インテリジェンス | ・情報機関の新設 ・スパイ防止法制の整備 |
・既存機関の機能強化(透明性確保) ・経済安保分野の情報共有 ・国会による監視委員会の設置 |
4. 私たちはいま、どの進路を選ぶのか
以上のように、 軍事抑止重視派と軍事依存からの構造転換派は、同じ現実を見ていながら、 「どの現実を優先するか」で安全保障観が大きく分岐しています。
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目の前の軍事的脅威に即応するのか
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長期的な構造安定を優先するのか
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同盟の不確実性をどう評価するのか
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軍事力と外交の比重をどう配分するのか
これらは、単なる政策の違いではなく、 日本という国家がどの方向へ進むのかという根本的な選択です。今回の解散総選挙は、 この選択を私たち一人ひとりに突きつけています。
5. 安全保障の「分岐点」としての選挙
安全保障政策は、専門家だけの議論ではありません。 それは、私たちの暮らし、権利、未来に直結する問題です。
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どの現実を優先するのか
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どのリスクを許容し、どのリスクを避けるのか
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どの方向に日本を進めたいのか
今回の選挙は、 日本の進路を決める重大な岐路となります。
私たち自身が、この国の安全保障のあり方をどう考えるのか。 その問いに向き合うことが、いま求められているのだと思います。

