弁護士会主催「8・29兵庫パレード」姫路会場での支部長挨拶(2015年)

 

広がる「安保法案反対」6800人一斉パレード
 参院で審議されている安全保障関連法案に反対する市民が29日,神戸,姫路,尼崎,豊岡の4市で一斉にパレードした。県弁護士会の主催で参加者は計6800人(主催者発表)に上り,廃案を求める声の広がりをアピール。姫路は500人「主権者として声」
    (毎日新聞朝刊 播磨・姫路版8月30日

 こう報道された2015年8.29兵庫パレード。
 私は本年度弁護士会姫路支部支部長の立場で姫路集会の実行委員長として集会に参加しました。
 集会参加者は,午後4時きっかりには500人程度であったかも知れませんが,パレード出発前には1000人に達していたとみられます。(弁護士会が用意したプラカードが700枚はけたこと,署名が500人以上集まっていたこと,会場及びパレードでの目視,複数の参加者の声によります。)
 だとすると,姫路での野外集会としては私が経験したことのない数です。
 もとより弁護士会主催の集会としては過去にない初めての出来事です。

 支部長・実行委員長としての当日の挨拶は次の通りです。


2015年8月29日 兵庫県弁護士会 安保法制関連法案等反対兵庫パレード(第2弾)
姫路会場での実行委員長(姫路支部長)スピーチ

 皆さん こんにちは。
 ただいまご紹介にあずかりました,実行委員長の平田です。ひとことご挨拶を申し上げます。

 まず,弁護士会主催の本日の大手前公園での集会・パレードにご参集のすべてのみなさん。ありがとうございます。
 私は,はりま地域の弁護士会を代表して,心から感謝と,そして連帯の気持ちをお伝えしたいと思います。

 さて,いま政府が提出している安保法案というのは,まあひどい法律です。
 紛争地域に展開するアメリカなどの同盟国の軍隊の後方で兵站などの活動を一般的にできるようにする。そして,一旦ドンパチが前線で始まった時には,一定の要件の下,時の政府の判断で,この戦争に参加するかどうかを決められる。一言で言ってしまえば,そういう法律です。これはもう,日本をアメリカやイギリスやフランスやドイツや中国やロシアと同じように,普通に戦争が出来る国に変えるための一歩となる法律というほかない。
 日本は憲法9条で,日本はもうこれから軍隊をもって戦争する国になるのをやめると宣言した国です。
 この法案が憲法9条に反することや,この法案の志向が平和主義を基本とする日本国憲法のかたちに反することは,あんまりにも明らかです。
 それから,秘密保護法の方ですが,これも,ひどい。
 外交と軍事に関しては,行政機関が,一旦秘密に当たると決めたら,もう,何が秘密かも秘密,その秘密を漏らせば重罰に処するという,とんでもない法律です。日本は,民主主義の国で,政府の行動を国民が自由に批判してよいという言論の自由が憲法で保障された国のはずです。ところが,この法律で,この憲法で保障された報道の自由とか表現の自由といったものは,行政機関の裁量の範囲内のものに結果として限られてしまった。

 つまり,私たちは,もう,この2年間の間に,特定秘密保護法の制定、集団的自衛権行使容認の閣議決定,そして,この度の安保法案の衆院通過というかたちで,人権が,中学校で勉強した,法律の留保付きという,戦前のようなものに変えられた。
 そして,これも中学校で勉強した,恒久平和主義,日本はもう戦争を二度としない。軍隊を出して人を殺したりしない国だという形を,やめにしてしまうという大きな布石を打たれようとしている訳です。

 これらは,私も含め,多くの弁護士・市民・国民が,「おいおい冗談だろう。」というようなことです,これは。
 それをまんざら冗談でもなく,粛々と進めている。今の内閣は,そういう意味では,「冗談だろう」というような国民の方が馬鹿で間違っていると思っている,としかいいようのない,進め方をしています。これはさすがに本当にまずい。
 右か左か,護憲か改憲か,そういう問題じゃなくて,政府は常識的なことの範囲内で動いて欲しい。
 普通なら黙っていますが, どうしても黙っていられないようなことを,している。
 それなら,もう,私たちも黙っていない。
 この会場に,姫路の弁護士が2,30名,事務局や家族も含めれば40名を超える人が駆けつけてくれていますが,私たちの中には,今年になるまで,デモなんて参加したことがないという人が4分の3くらいは,います。
 そして,今日,これだけの市民が,弁護士会の呼びかけに応えて集まってくれました。姫路市内から参加したという人はどのくらいいらっしゃいますか。
 姫路市内以外から参加したぞという方は?
 これだけの方が姫路市の外から集まってこられています。すごいですね。ありがとうございます。

 ここ姫路で,政府の施策に対する抗議にこれだけの人が集まってくる。素晴らしい。
 私は思い出します。
 フランスのパリでは,シャルリエブドの襲撃事件があった後,わずか1週間でパリが,民主主義を守れという300万人の人のデモで埋め尽くされた光景がありました。

 私たちだってやれます。
 自分たちの気持ちで,自然体で始まった運動は,絶対に長持ちします。
 東京や大阪では,若者達が頑張ってくれています。
 彼らにも,そして,今この集会につどっている私たちにも,正当性があります。
 私たちが言っているのは,政府は民主主義を守れ。政府は人権を守れ。憲法を守るべき義務がある政府は,憲法を守れ。ということだからです。
 安保法案,廃案に持って行きましょう。
 特定秘密保護法,今の国会の構成を変えて,廃止に持って行きましょう。
 今日この場に参加したすべての弁護士と市民が,みなさんが、あと何年かしたあと、「2015年の夏に,日本は決定的な岐路にたっていた。そのとき,自分は,私は,歴史の方向を変える運動に,身を以て参加していた」と誇りを持って回想できることを願っています。

 ともに頑張りましょう。


 上記の最後の,「2015年の夏に,日本は決定的な岐路にたっていた。そのとき,自分は,私は,歴史の方向を変える運動に,身を以て参加していた」と誇りを持って回想できることを願っています,という言葉は,内田樹さんが京都でのシールズとの集会でした最後の締めの言葉に共感し,私の挨拶の結語にも用いさせて頂いたものです。『身を以て』の部分が大事な部分で,ここに記して感謝申し上げます。

<2015年8月31日平田元秀wrote>
<2015年9月17日平田元秀一部更新>