競落人に対し登記未了の通行地役権を対抗できる場合(最判三小平成25年2月26日)
通行地役権に関する民法177条の「第三者」解釈の論点におけるオーソドックスな最高裁判例。
平成23年(受)第1644号 道路通行権確認等請求事件
平成25年2月26日 第三小法廷判決
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130226130259.pdf
【要旨】
通行地役権の承役地が担保不動産競売により売却された場合において,
最先順位の抵当権の設定時に,
既に設定されている通行地役権に係る承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置,形状,構造等の物理的状況から客観的に明らかであり,かつ,
上記抵当権の抵当権者がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは,
特段の事情がない限り,
登記がなくとも,通行地役権は上記の売却によっては消滅せず,
通行地役権者は,買受人に対し,当該通行地役権を主張することができると解するのが相当である。
【原審判決との関係】
Y所有地の担保不動産競売による売却時に,
本件通路が外形上通路として使用されていることが明らかであって,
Xらが本件通路を使用していたことをYが認識していたか又は容易に認識し得る状況にあったことを理由として,
XらがYに対し,通行地役権等を主張することができるとした原審の判断には,
判決に影響を及ぼすことが明らかな違法がある。
論旨は理由があり,原判決中Xらに関する部分は破棄を免れない。
そして,Y所有地に抵当権が設定された当時の事情等について更に審理を尽くさせるため,
上記の部分につき,本件を原審に差し戻すこととする。