司法修習生の給費制法が成立しました! ( 過去のニュース )
司法修習生に対する給費制度を復活させる時限立法(改正裁判所法)が,11月26日,「みんなの党」を除く与野党の賛成多数で可決,成立しました。
修習生の給費制維持のために,皆さんから多数の署名を頂きました。
まだ,この成果は一里塚で,この1年間の間に「市場原理主義=規制緩和万歳時代」の司法「改悪」の負の遺産を克服するさらに厳しい闘いが待っていますが,まずは支援いただいた各位に心より御礼を申し上げます。
以下,関連記事を引用します。
司法修習生の給費制法が成立=給与支給を1年間継続
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010112600732
司法試験に合格した司法修習生に給与を支給する「給費制」を1年間に限って
復活させる改正裁判所法が26日の参院本会議で、みんなの党を除く与野党の賛
成多数で可決、成立した。これにより、今月1日に導入された生活資金の「貸与
制」はいったん停止する。
給費制は、修習生に月額約20万円の給与を支給する制度。法曹人口拡大に伴
う国の負担増を避けるため、2004年の同法改正で無利子の貸与制への移行が
決まった。しかし、日弁連は「富裕層しか法曹になれなくなる」と反発し、公明
党も給費制復活を主張。民主、自民両党はこれを受け入れ、今月18日に暫定復
活で合意していた。(2010/11/26-19:47)
司法修習貸与制施行延期に関する「裁判所法の一部を改正する法律」成立にあた
っての会長声明
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/101126.html
本日、今後一年間、司法修習生に対する貸与制の施行を延期する法律が国会で可
決され即日公布された。これにより、明日から司法修習が開始される新第64期
司法修習生に対して、従前の制度と同様の修習費用の給費が実施されることとな
った。
今回の法改正の趣旨は、昨今の法曹志望者が置かれている厳しい経済状況にかん
がみ、それらの者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう、
給費制が継続される一年間の間に、法曹養成制度に対する財政支援の在り方につ
いて政府及び最高裁判所の責務として見直しを行うこととされている。また、附
帯決議の二項では「法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討
を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること」を求めている。
このような改正法の内容は、給費制の完全な復活とはならなかったものの、「司
法制度改革審議会意見書」(2001年6月12日)に基づき、この間取り組ま
れてきた司法改革を「第一次司法改革」と位置づけ、これをさらに検証・発展さ
せ、市民目線で「第二次司法改革」に取り組んでいる当連合会の方針に一致する。
この法改正のための活動に御協力いただいた市民団体、消費者団体や労働団体に
よる「司法修習生の給与の支給継続を求める市民連絡会」や法科大学院生、司法
修習生、新人若手弁護士らによる「ビギナーズ・ネット」、困難な国会状況のな
かで改正法の成立に並々ならぬ御尽力をいただいた各政党・国会議員の方々、最
高裁判所、法務省の皆さんに心から感謝したい。
今回の法改正の過程では、国会や政府、報道関係者の一部から「すべての法曹が
公共的な職務を遂行しているといえるのか」「経済的に困難な者に対する支援は
もっともだが、経済的に裕福な者に対してまで給費する必要性があるのか」とい
った問いかけを受けた。当連合会は、これまで以上に弁護士の人権保障と社会正
義の実現という公共的使命を自覚し、人権擁護、法律扶助制度の拡充や過疎偏在
対策などに取り組んでいく。
当連合会は、これまでにも、「新しい法曹養成制度の改善方策に関する提言」
(2009年1月16日)、「市民の司法を実現するため、司法修習生に対する
給費制維持と法科大学院生に対する経済的支援を求める決議」(2010年5月
28日)などの提言を行ってきたが、この法改正を受けて直ちに、給費制の維持
を含む法曹志望者に対する経済的支援の在り方を再検討するとともに、法科大学
院を中核とする新しい法曹養成制度の理念をふまえつつ、法曹養成制度全体の見
直しについて積極的に取り組んでいきたい。また、国に対し検討機関の早急な立
ち上げを求め、このような機関における検討を加速するため真摯な提言を重ねて
いきたい。
2010年(平成22年)11月26日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児