「トクヴィル 現代へのまなざし」
富永茂樹著 岩波新書2010年9月17日第1刷
を通読中です。
内田樹さんの「街場のアメリカ論」の示唆を受けて,トクヴィルまで広げてみようと思っています。
トクヴィルの『アメリカにおけるデモクラシーについて』は170年前の著作であるが,どの頁を開いても,ほとんど『腐っている』ところがない。そのまま今日のアメリカ論として読むことができる(その数頁をそのまま日本の月刊誌に転載しても,それが2世紀前に書かれたアメリカ論であることに不注意な読者は気がつくまい)。
これはすごいことである。
<内田樹「街場のアメリカ論」262頁>で,トクヴィルへのとっかかりとして,上掲岩波新書を読んでいます。
気になるところを,書きためます。
○129頁「中間的権力の破壊へ」
トクヴィル著「アンシャン・レジームとフランス革命」において,筆者はあらためて社会における部分の喪失,中間の困難に直面することになる。
フランスではアンシャン・レジーム(”旧体制”)期を通じて行政権力が集権化するにつれて,地方や都市がその「後見下」におかれて次つぎと衰退していきました。
同業組合の廃止は,官僚テュルゴの手で進められたものでした。
〔世界史の窓〕 1774年、ルイ16世によって財務総監職 controle general des finance すなわち宰相職に任命された。テュルゴーはリモージュ地方の地方総監 intendant であった。彼はケネーなどの重農主義者やエコノミストの思想を支持しており、財政収支のバランスをとることをめざして、王室の支出の削減、穀物流通の自由か(国内関税の廃止)、同業組合の廃止、土地所得に比例した地租制度などを提唱したが、飢饉を恐れる農民、職人だけでなく、特権商人たちも既得権を奪われることを恐れて改革に反対した。特にパリの高等法院は、「許し難い悪平等のシステム」だとしてテュルゴーを告発した。そのため、1776年5月12日に罷免され、改革はできなかった。
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