成年後見制度のスポット利用(一時的利用)について

成年後見制度のスポット利用を可能とする仕組みを作ることについては,かねてから利用者の声に押され,弁護士実務家の中で必要性が高いという意見がでておりました。

2022年3月25日の政府の基本計画(閣議決定)の中で,これを制度化していく方向性が示されました。次の通りです。


「第二期成年後見制度利用促進基本計画」
~尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加を図る権利擁護支援の推進~
令和4年3月 25 日閣議決定

Ⅰの1(2)
尊厳のある本人らしい生活を継続できるようにするための成年後見制度の運用改善等
  1.  成年後見制度の利用促進は、上記のとおり、全国どの地域においても、制度の利用を必要とする人が尊厳のある本人らしい生活を継続することができる体制を整備して、本人の地域社会への参加の実現を目指すものである。
     そのため、以下を基本として成年後見制度の運用改善等に取り組む。
    ① 後見人等による財産管理のみを重視するのではなく、認知症高齢者や障害者の特性を理解した上で、本人の自己決定権を尊重し、意思決定支援・身上保護も重視した制度の運用とすること。
    ② 法定後見制度の後見類型は、終了原因が限定されていること等により、実際のニーズにかかわらず、一時的な法的課題や身上保護上の重要な課題等が解決した後も、成年後見制度が継続することが問題であるとの指摘や、一時的な利用を可能として、より利用しやすい制度とすべきとの指摘などがある。これを踏まえ、成年後見制度を利用することの本人にとっての必要性や、成年後見制度以外の権利擁護支援による対応の可能性についても考慮された上で、適切に成年後見制度が利用されるよう、連携体制等を整備すること。
    ③ 成年後見制度以外の権利擁護支援策を総合的に充実すること。
    ④ 本人の人生設計についての意思を反映・尊重できるという観点から任意後見制度が適切かつ安心して利用されるための取組を進めるとともに、本人の意思、能力や生活状況に応じたきめ細かな対応を可能とする補助・保佐類型9が利用されるための取組を進めること。
    ⑤ 安心かつ安全に成年後見制度を利用できるようにするため、不正防止等の方策を推進すること。
Ⅱ の1(1)
成年後見制度等の見直しに向けた検討

 成年後見制度については、

    •  他の支援による対応の可能性も踏まえて本人にとって適切な時機に必要な範囲・期間で利用できるようにすべき(必要性・補充性の考慮)、
    •  三類型を一元化すべき、
    •  終身ではなく有期(更新)の制度として見直しの機会を付与すべき、
    •  本人が必要とする身上保護や意思決定支援の内容やその変化に応じ後見人等を円滑に交代できるようにすべき

といった制度改正の方向性に関する指摘

    • 障害者の権利に関する条約に基づく審査の状況を踏まえて見直すべきとの指摘、
    • 現状よりも公的な関与を強めて後見等を開始できるようにすべきとの指摘

などがされている。
 国は、障害の有無にかかわらず尊厳のある本人らしい生活の継続や本人の地域社会への参加等のノーマライゼーションの理念を十分考慮した上で、こうした専門家会議における指摘も踏まえて、成年後見制度の見直しに向けた検討を行う。


 まだ政府でも検討に入ろうとする段階ですが,審議の経過を注視していく必要があります。

2022年9月6日記